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フェスティバル・エクスプレスのmiwanのレビュー・感想・評価

3.7
1970年カナダで催された野外コンサート「フェスティバル・エクスプレス」のドキュメンタリー作品。

その名の通り、ミュージシャンたちは列車で寝食を共にしてトロントからカルガリーまでを移動し、各地でコンサートを行う。

移動中の列車の中では、そこかしこでセッションが自然発生する。ミュージシャンたちは、仲間と共に酒を飲みクスリをキメて音楽を心底楽しんでいる。どんなに疲れていても「寝るのが勿体無い」と彼ら自身に思わせるほどの贅沢なオフステージだ。

そしてコンサートステージは、ドキュメンタリーでありがちな都合よく編集されたものではなく、フルコーラスまるっと魅せて聴かせてくれるのだ。
ブルースやカントリーを基調とするUSロックはあまり詳しくないけれど、それでも、ザ・バンドやジャニス・ジョプリンを極音のスクリーンで目の当たりにして鳥肌が立った。

特に、ジャニスの剥き出しの魂が絞り出す歌声、言葉、リズムは圧倒的な存在感だった。
そして、フルコーラス終始スクリーンいっぱいに表情が映し出されたジャニスが、あまりにも素朴な普通の女性であることにココロが震えた。

ジャニスにしても、グレイトフルデッドのジェリー・ガルシアにしても、もう見ることのできない彼らを大きなスクリーンで観ることができた貴重な時間だった。
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