カテリーナ

哀愁のカテリーナのレビュー・感想・評価

哀愁(1940年製作の映画)
4.7
この映画の淀川長治先生の解説がyoutubeで偶然に見る事ができ思い出した
はるか昔にテレビの深夜放送で鑑賞していたと、
当時 独身で小娘の私はこの映画の良さを
理解できなかったが、ビビアン・リーの美しさと哀しい愛の結末に涙を流した
真夜中に暗闇の中で
白黒画面に引き込まれていた

1917年、ローイは25歳の陸軍大尉で
ウォータルー橋で出逢った美しい女性を助ける 女学生のように初々しい彼女は
マイラ、オルガ・キローワ・バレー団のダンサーだと、告げる
お互いひと目で惹かれ合い恋に落ちる
ロバート・テイラーとビビアン・リー
なんて絵になるふたり
この出逢いが運命だと信じ、すぐに結婚しようと張り切るローイのはしゃぎようが
可笑しいし、微笑ましい
その後のふたりの運命を暗示するかのような雨が降りしきる中、傘をさしたまま
お互いの愛を確かめるようにキスを交わす

しかし幸せな時間もつかの間、戦争により引き裂かれるふたり
戦死の知らせ 絶望の中
生きる為に身を落としていくマイラ
誤報だとわかっても時間を戻す事はできないのだ 出逢った頃のふたりにもう、戻る事はできない

マイラの端正な顔がローイの母親から
過去の過ちを咎められ見る見る曇っていく
生きるために女が選ぶ道は母親にも容易に想像できる
ビビアン・リーが責められ、苦悩する場面ばかりが映しだされる そして、はらはらと流す涙

ウォータルー橋で出逢った時のマイラは花のような笑顔が嘘のように
運命に翻弄され哀しみの涙に暮れる
モノクロのスクリーンに消え入りそうな
儚げな姿が痛々しかった

幸福の絶頂だった時ローイはマイラに告げる
「僕が帰ってきたらまたあそこへ行こう あそこを僕たちの場所にしよう 今夜をいつも再現できる場所に」

時が経ちウォータルー橋に佇むローイ
彼の心の中にいつまでも彼女は美しく、女学生のようなまま生き続けるのだ
カテリーナ

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