真鍋新一

南海の劫火の真鍋新一のレビュー・感想・評価

南海の劫火(1932年製作の映画)
3.1
『キング・コング』などと並んで戦前からの南国ロマンの原点がここにありという感じの観光+アクション+文化蹂躙。

生捕り火あぶり上等の未開の部族を相手に現地のプリンセスに手を出すジョエル・マクリーが無茶すぎる。槍が飛んできて島民たちからメチャクチャ顰蹙を買っているのに意地でも頑張り抜く。

火山の呪いがどうとかいう明らかな迷信とか、プリンセスに変な薬を飲ませて従順にさせるとか、島のヤバい文化もたしかにどうかと思うのだが、それにしても無茶すぎる。

途中までひたすらハワイアンみたいな民族音楽が延々流れていて眠くて仕方がない。後半は火山が爆発したり、海が渦を巻いてジョエル・マクリーが巻き込まれたりする。落ちたら溶岩というヤバいポイントもターザンみたいに切り抜ける。なにがそんなに彼を動かすのか。文明人の傲慢さだけで突っ走る。

ジョエル・マクリーは映画の半分くらい半裸で、道なき道を行き、なにがいるかもわからない野原に寝転んでプリンセスにココナッツを飲ませてもらったりする。虫刺されとか大丈夫なのか。当時の西洋人の極端な南国ロマン志向は、逆にどれだけ不自由のない暮らしだったのか。その反動という気がする。
真鍋新一

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