第二次世界大戦下のフランスで、ある日突然始まったユダヤ人の一斉検挙。
彼らはヴェルディヴ(屋内競輪場)に閉じ込められ、水もトイレもない状態で放置された後、収容所へ送られ殺された。
物語はヴェルディヴ事件が起きた1942年と、それを探る女性記者のジュリアが生きる現代とが交互に描かれていく。
私は「黄色い星の子供たち」で初めてヴェルディヴ事件を知った。
同じようにこれらの映画で初めて知ったという日本人は多いと思う。
しかしそれは日本人だけではない。
映画の現代のシーンに出てくる若者はヴェルディヴ事件を知らない。
この作品は当時と現代を両方描くことで、現代のフランス人にとってのヴェルディヴ事件というものもきちんと描いている。
そしてこの映画で一番印象に残ったのは、サラを演じたメリュジーヌ・マヤンス。
彼女の演技はもう本当に圧巻というしかない。
フランスで起きたこの残酷な事件が、フランスで映画化されるということ自体大きなことだが、それだけでなく映画としてもよく出来ていて、サラや弟の運命を現代の女性記者が紐解いていくという構図は、観ていてとても惹きつけられた。