滝和也

トラック野郎 御意見無用の滝和也のレビュー・感想・評価

トラック野郎 御意見無用(1975年製作の映画)
3.7
キンキン&文太の
痛快人情アクション
コメディシリーズ第一弾!

トラック野郎たちの
アナーキーな
トンデモさは正に
東映ならでは!

「トラック野郎 御意見無用」

愛川欽也が東映に持ち込んだ企画が紆余曲折の後、文太&キンキンで作品化。今作のヒットにより盆暮れの稼ぎ時に東映の看板として松竹の寅さんと対決したのがこのトラック野郎シリーズです。また東映実録路線が行き詰まりつつあった東映を救った作品でもありますね。

ストーリーは…粋なトラック野郎の桃次郎と相棒のキンキンが桃次郎の惚れた相手のために一肌脱ぐと言うのが基本。ただ下ネタ、喧嘩、暴走とエログロバイオレンスもありと言う…下衆すぎる寅さんなんですけどね…。いつもこんな感じかな(笑)

話がかなりアナーキーで今見てるとかなりヤバいんですよ。オープニングから道交法違反ぶちかましですし、運んでる荷物を抜いて売っ払うし、オネーチャンへのプレゼントにしちゃうし。どう見ても酒飲んで運転してそうだし。警察が基本悪役で敵ですからね(笑)しかも警察が悪くもない(笑)

更に監督はあのヒットメーカー鈴木則文さんですからね。任侠ものからエログロまで何でもござれと言う東映のやり過ぎな作品には彼がいます(^^) まぁ…時代性かも知れませんがフェミニズムが当たり前の現代の女性にはオススメできませんわ…(笑)

菅原文太さんは仁義なき戦いで見せた凄み、まむしの兄弟のコメディ的な演技を経て…完全コメディのトラック野郎にチャレンジ。自分にはないキャラで大変だったと後に話してますが、その苦手感が不器用、無骨で一途な桃次郎のキャラにピタリとハマった気がします。文太さんがドリフ並みのコント仕立ての喧嘩シーンをするわけですから当時はそのギャップが凄かったんでしょう…。

桃次郎とコンビを組むヤモメのジョナサンには愛川欽也さん。母ちゃん役に春川ますみさんと言う名コンビ。8人の子持ちと言うキャラですのでこの家族とのシーンがホッとする良い箸休めになってますね。

ライバルに和製ブロンソン、佐藤充さんが関門のドラゴン役で。桃さんに惚れる女ドライバーお京、夏純子さんと共に登場。毎回訳有のヒロインが出てきますが一作目の映えあるヒロインに中島ゆたかさんが。これに当時TVで人気のコメディアン達が華を添えてます。

今回トラック野郎と言う言葉がこの作品から出来たのを初めて知りましたが、影響は大で…今はほぼ見ませんが当時デコトラがかなり走ってましたし、その親睦会歌麿会の名は有名で…小中学生だった私の世代にもファンがいて…俺運転手になるよと言っていた奴がいたことを思い出しました。今なにやってんだろうと。

とにかく豪快、勢いのある(勢いだけかな(笑))作品で笑いあり涙ありと楽しめるエンタメ作品ではあります。お暇なときにでも。
滝和也

滝和也