あやさん

レインメーカーのあやさんのネタバレレビュー・内容・結末

レインメーカー(1997年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

90年代後半の映画っていいなあ
俳優も色彩も小道具もぜんぶいい
マット・デイモンやっぱりかっこいい

映画全体の仕組みがあるべきとこに収まってる感じで観やすかった
愚か者と嘘つきに証言されて弁護士になったルディの、一度きりの夢のような舞台。
依頼人に肩入れし、生活まで共有して、弁護士の鉄則(=依頼人に踏み込まない)を無視したルディは法曹界には属さない。
3つのケースを抱えてて、3つともぜんぶ自分の人格の中にほんとに抱え込んでしまった。

彼自身が盗まれた証拠を使ったり詐欺師まがいの弁護士の助言を聞き入れたりと、直接にではなくても一線を多分に越えた裁判だった。
そしてそれをし続けると、くそ弁護士になってしまうんだと言った。そして弁護士になる道を捨てた。つまり、弁護士を続けられる人間にろくな奴いないってメッセージだ。
彼は父親に殴られる母親を見続け、自らも殴られて誰も助けてくれなかった。ホープレスだったのだ、法は父親を罰することができたかもしれないが、法を行使する者=社会や人間はルディたちを救ってはくれなかった。
小さい頃に受けた社会への絶望は、常に根っこにある。
信じられる人間以外誰も味方じゃない、そのことがわかっているから依頼人とも強い関係を結んだのかも。一線を越えられるほどの根拠が、お金じゃなくて関係性だった。

そう思うとルディってやばい性格してるな。ぜんぶ自分のなかに巻き込んで、強い関係を他人と結んで、それをパワーにして頑張れるなんてなんというかポジティブメンヘラだ。果てしないじゃないか。折れないんだから。

証言台に立って泣かされた、元事務員の女の人、会社のきしょい男たちの嘲笑。(「ふられた女は怖い」????fuck you!!)
ケリーの、早くに妊娠・結婚して流産し以降夫の暴力から逃げられないという日々。
「重役と寝たら昇給・昇格できる」
「夫はセックスだけが私たちを繋ぐと思っている」
一方で戦争により心を病んだブラック父さんとベビースモーカーなブラック母さん、ふたりは対等に見えた。もちろん息子ドニーレイについての悲しみを共有しているという圧倒的な絆もあるが、男女はじゃあ肉体の不健康と相対してしか対等にはなれないのか?
病んだところを見せる=弱みを見せる、なのか、
弱みを見せられない、懐を明かしてありのままでいられない、からペニスを振りかざすような結果になってしまうのだろうか、men。

フランシスコッポラもっと観ようかな
ゴッドファーザーめちゃ好きやし
あやさん

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