Kamiyo

オールウェイズのKamiyoのレビュー・感想・評価

オールウェイズ(1989年製作の映画)
4.0
1989年”オールウェイズ”
スピルバーグ製作・監督による
ダルトン・トランボが脚本を提供した1943年製作『ジョーと呼ばれた男』をリメイクした恋愛ファンタジー

感動のラブ・ファンタジー。

終盤の星空からの飛行シーンは
いつ観ても優しい気持ちになる。
最後の最後迄、恋人を見守り
どんなに大切に想っているかを伝えようとしても
ドリンダには聞こえないし、ピートの姿は見えない。

スピルバーグ一流のファンタジーにスペクタクルが加味されている。とにかくスピルバーグはうまい。
ハラハラドキドキさせることにかけては天下一品だ。
たとえばファーストシーン。湖面にボートを浮かべ
二人の男がのんびりと釣り糸をたれている。
そこに背後から水上飛行機が猛スピードで突っ込んでくる。釣り人はあわててボートのエンジンをかけるが
間に合わず湖に飛び込む。
その瞬間、飛行機が彼らの頭上すれすれに飛び上がって行く。「ジョーズ」と同じ静から動への手法で、
本編には関係ないシーンにいきなり息づまる。

ピート(リチャード・ドレイファス)は山林火災の消火隊のパイロット。自信家で凄腕なのだが、燃料を見誤り
エンジンストップで滑走路に駆け込むポカもする。
恋人のドリンダ(ホリー・ハンター)は
そんなピートを心配し、第一線の現役から
指導者への転身を薦める。
ピートはその話を受けるが、非番の時、
山林火災は拡がり、パイロットが足りなくなる。

それはピートが恋人のドリンダとの結婚を決意した翌日、ピートは最後の仕事に出かける。
親友のアル(ジョン・グッドマン)の機が
片方のエンジン出火に、爆破の危機に陥る。
ピートはアルの機に突入、消化剤を燃え上がる
エンジンに落として消化に成功。
この神業に死地にあったアルは狂喜する。
しかし事態は暗転。ピートの機のエンジンが出火
そのまま墜落してしまった。

死んだことに気づいていないピートは、そこで黄泉の世界で知り合った女性ハップから、ドリンダに別れを告げて
ケジメをつけなさいと背中を押されるのでした。
若いパイロットの力になりなさいと地上に戻される。
その黄泉の世界のハップを、なんと往年の名女優オードリー・ヘップバーンが演じてます!!年をとっても、
優雅な姿と気品は変わりなく存在感は圧倒的です。
本作はスクリーンの妖精オードリーの遺作であり、
それだけでも観る価値はあると思いますね。

天使のオードリーは、やっぱり美しい・・!
いくつになっても、綺麗ですよね。

ピートはこの世にゴーストとして戻りますが
生きてる人と言葉を交わすことができません。
ただ見守るだけです。これが切なさを醸し出してます。
同時にピートという男の温かさも描出していることに
味もあります。
親友アル(ジョン・グッドマン)の存在も見逃せないところです。ドリンダを励まし、ピートの仲介役としてのアクセントになってました。
とにかく、大事な人が居なくなる切なさを描いた

ピートのドリンダへの想いは彼女も感じているようで、
死後の世界と現世で愛を確かめる
「ゴースト ニューヨークの幻」に似ている。
「アンチェインド・メロディ」が
効果的に使われたのと同じく
本作でもプラターズ「煙が目にしみる」が
ピートとドリンダの思い出の曲として
とても効果的に使われていて涙を誘う

ゴースト』に似た感じは、するのですが、やはりこういうラブストーリーは感動します。
日頃から自分の“思い”は伝えておかないと、いけない事を痛感します。
無償の愛なんですね。
「ゴースト」は、「いつまでも僕のことを忘れないで」と言っているようであり、
「オールウェイズ」は、「僕のことは忘れて幸せになって」と言っているようであり。

一途なピートの気持ちが痛いほど伝わり、山火事のシーン、飛行機で突っ込んでいくシーンなどの見事な演出は、スピルバーグならではの上手さを感じます。
(巷ではスピルバーグの2番目の駄作とも言われたそうだけど?)
この映画の評価が低いのが私は残念です。
Kamiyo

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