ドント

重犯罪特捜班/ザ・セブン・アップスのドントのレビュー・感想・評価

3.5
 1973年。逮捕すれば7年以上(セブンアップ)は食らい込む重犯罪のホシを強引な捜査で上げつづける捜査班。街で起きていたマフィア幹部誘拐事件に、彼らは知らぬ間に巻き込まれていく。
 乾いてタイトな刑事/犯罪ドラマであり、まず冒頭からして説明もなしにコトが起こるし、登場人物の紹介らしい紹介もなく、段取りもなしにドシドシいろんなことが起きる。「いちいち教えねぇよ。観てったらわかるンだからよ」というこの無愛想さがロイ・シャイダー率いるチームの無理を通す捜査ぶりと重なってとてもいい感じ。キャラの掘り下げとかもない。終始潔い。
 とは言え撮影や演出がもうちょっと……同じスタッフがやった『ブリット』や『フレンチ・コネクション』だともうちょっと味わいが……とか思っていると発生する中盤のカーチェイス、これがすごい。うまい! うまい! 先に挙げた2本のスタッフ・カースタントを使っての、引き締まって緊張感とリアルな迫力に満ちた追いかけっこが物凄い。大爆発とか超横転とかがないのがまたいい。「ハレ」がないのでヒリつきが持続するのだ。2台の車が街中をバインバインと上下に揺れながら爆走する様は今観ても素晴らしい。
 派手なアクションとしてはここがピークで、この後、物語は息苦しさ、窮屈さを伴って収束していく。銃撃戦もあるけれど実にドライに描かれている。このあたりの手の広げなさも大変に好ましい。もうちょい旨味があればさらに……などと思ったりもするけれど、ラストシーンの苦さを加味すると、変にベタつくようならいっそこのくらいパサパサの方がよいのかもしれぬ。なおまともに台詞のある女性は3人(骨董店の客、店のおばさん、マフィアの妻)くらいしか出てこない。男の映画である。ロイ・シャイダーは『ブリット』のマックイーンと同じ服装をしているが、同じくらいカッコいい。
ドント

ドント