イチロヲ

青い獣 ひそかな愉しみのイチロヲのレビュー・感想・評価

青い獣 ひそかな愉しみ(1978年製作の映画)
3.5
名門校で受験勉強に勤しんでいる少年(加納省吾)が、抑圧に耐えられなくなり暴力性を露わにしてしまう。学生の家庭内暴力が社会問題になっていた時分に製作された、日活ロマンポルノ。

主人公の父親(三谷昇)は、自分自身が中卒であることの劣等感に苛まれているため、息子には高学歴になってもらいたいと望んでいる人物。しかし、そんな父親の思いが、息子の暴力性を刺激してしまう。

野鳥の密猟業者と関わっている女性(稲川順子)をヒロインに置くことで、主人公の立ち位置を「飛べない鳥」と重ねる手法が採用されている。父親の弱者としての立場を掘り下げるために、母(秋野美弥子)と情夫のシークエンスを含ませていく。

主人公の心情に同調することはできないが、彼の奇行を楽しむための珍妙なドライブ感が備わっている。旧友(水島美奈子)を絡ませることにより、世代別のヌードが拝めるようになっているところも、さすがのロマンポルノ。
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