えびちゃん

タレンタイム〜優しい歌のえびちゃんのレビュー・感想・評価

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)
4.6
" 慈悲深く 慈愛あまねく アッラーの御名において "
オールタイムベスト🕊
瞬きさえ惜しく、一音も聴き逃したくない。
民族、宗教、日本で暮らす私たちには馴染みがないけど、マレーシアは多民族国家で自然と人々の間で軋轢が起きている。
とってもナチュラルに多様性を優しく包み込んでいるような本当に素晴らしい映画でした。
善意の映画。
暗い体育館の照明がひとつずつ付いていって、最後はひとつずつ全ての照明が落ちて終わる。この演出ものすごく好き。

ソフト化されていないのでもし上映されていたらなんとしてでも観てください。

*2019年1月20日 再鑑賞🍓🍓@アップリンク吉祥寺

*2019年7月22日 再々鑑賞🍓🍓🍓@シアター・イメージフォーラム
3回目ともなると、開始4分で涙が流れます。ハフィズとカーホウのハグするシーンは昂ぶったふたりのアドリブ、ハフィズがお祈りするシーンで小鳥がとことこやってくるのはたまたまだったと。そんなミラクルもヤスミンだから叶ったのかと思う。

*2019年8月14日 4回目の鑑賞🍓🍓🍓🍓@シアター・イメージフォーラム
全部忘れたくなくて、深く呼吸した。冒頭、「月の光」とともに木々が風にそよめく画を絶対に覚えておきたくて。
タン先生の「君も自分が思うほど利口じゃない」という言葉にいつもドキッとしてしまう。
ハフィズが本当に好きだ。オーディションでお調子者の華僑男子メルキンが乱入して他の出場者はみんな怒ったりしている中、ハフィズだけは一緒に楽しみながら歌い切るんだもんなぁ。ムクシンを観た後だと、マヘシュに何度も安全運転を促すところは、ジェイソンから繋がって生きているんだとわかりまた涙。
4回目なので表情ととりまく環境により注意を払いながら鑑賞。どうしたって涙が出る。

*2019年8月15日 5回めの鑑賞🍓🍓🍓🍓🍓@シアター・イメージフォーラム
これが最後の鑑賞かもしれない、といつも思う。そうでないといいんだけど。
ムクシンの時はまだまだお祈りは練習中だったけど、すっかり一人でできるようになったのね。
ムルーのリハーサル、アディバ先生の誰かを想っているような表情を目に焼き付ける。わたしもきっと同じような顔をしていた。
偏見や誤解、妬みもすべて人間らしさという受容。人の思いやり、慈しみだけなく闇の部分もひっくるめて優しく包み込んでくれる。月のように見え隠れしながらも見守ってくれる。
ずっとずっと大事にしていきたい。宝物のように代えのない大切な作品。

10/14/2019 6回目🍓🍓🍓🍓🍓🍓@アップリンク渋谷
オープニングの電気が点いていくシークエンス、エンディングの電気が消えていくシークエンス、わたしはこれを観られただけでも感無量。
確かにそこに彼らがいた、心を寄せ合った瞬間があった、と静かに語りかけるようなカーテンが風に遊び、木々が気持ちよさそうに揺蕩うショット、いつまでも心に留めておきたい。
ストーリー、台詞さえ言えるようになった今、ヤスミンが切り取った風景、そこに込められた想いや願いを感じたり読み取っていきたい。ささいな描写でさえも全部全部わたしを構成するものになればいいのに。

10/22/2019 7回目🍓🍓🍓🍓🍓🍓🍓
@アップリンク吉祥寺
今日は何故か左目からよく涙が流れた。
親からの、身内からの大きな愛を全身で受け止めて成長した子どもたちは、絶望や喪失、悲劇を味わったとしても前を向き、自分の足で進むことができる。みんな素直ないい子たち。それは大事な人に受け入れられて大きくなったから。

11/2019 8回目@アップリンク吉祥寺

5/2/2020 9回目 @仮設の映画館ユジク阿佐ヶ谷
9回観ても、なんでこんなに泣けるのだろう。大事な人に観てもらいたい、大事な作品。
少年少女たちの圧倒的な演技力。というか、この作品の世界に生ききっている。瑞々しくて脆くて力強いまなざし。こんなに心揺さぶられる作品に出会えて幸せ。

6/30/2020 10回目ユジク阿佐ヶ谷
小津作品を見た後だと、かなり意識されていることに気づく。
エドワード・ヤン、小津安二郎、ヴィム・ヴェンダースあたりへのリスペクトを感じる。
今回特に、『ベルリン、天使の詩』との類似性に気付いた。やっぱりあの車椅子の人は天使なのか。
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