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マッチ工場の少女のzhenli13のレビュー・感想・評価

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)
3.7
学生の頃以来久しぶりに観た。いま観るとブレッソン的な酷薄さを演出するために不幸を仕立ててるのがなぁとちょっと思ってしまう。それはその後のカウリスマキ作品を観てるからそう思うのであって。当時はこんな映画初めてだなと興味深く観た記憶。
カティ・オウティネンが若くて肌もつやつやしてて、つねに泣きはらしたような目元が魅力的だが、不幸オンパレードなんだよな。オープニングのマッチ工場の機械クローズアップの連続がかっこよくてブレッソン。
カウリスマキの様式美が確立されつつある頃だったのだろうけど、小津監督カラー作品のような温かみのある鮮やかな色の美術などはまだ見られないし、照明ものちの作品ほど強調されていない。台詞の無いところに楽曲がかぶさってくるタイミングなどはやっぱりいいなと思う。

当時の本作VHSジャケットがブラックなコメディ映画であるかのようなデザインで、いまのカウリスマキ作品の宣伝デザインからしたら考えられないくらい品のない感じだったのを覚えてる。
当時フィンランドもカウリスマキもまだジャンル化されてなかったので宣伝側も方向性が見出せてなかったのか。
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