特濃ミルク

甘い生活の特濃ミルクのネタバレレビュー・内容・結末

甘い生活(1959年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

 巨大で異質な舞台装置、豊満な身体の女性たち、乱痴気騒ぎのカーニバル、そして祭りの後の寂しさ、虚しさ…フェリーニらしさ全開の映画という感じだった。
 享楽的で刹那的な現実逃避の生活はいずれ限界が来るし、それが過ぎ去った後の虚しさが甚だしい。スタイナー一家のような一見安定した「幸福な」生活もひとたびその虚飾の皮を剥くと、内側に地獄が揺曳している事がある。
 幸福って何なんだろう。辛いことから目を逸らして乱痴気騒ぎを続けること、つまりは開き直って馬鹿になる事なのかな。馬鹿にならないと幸福になれない人生なんて馬鹿みたいだ、虚しいだけだ。…とおそらく終盤の主人公と同じような事を考えてしまう自分も、ある意味では決して幸福になれないのだろうな。…まあ受け取り手によるけども、割と鬱映画の部類に入るな!これ!
 ラストシーンはどう解釈すればいいんだろうか。希望か絶望か。波の音にかき消されて少女の声が届かない=愛の不可能、理想への到達不可能を表しているんだろうけど、…それでも彼女はずっとこっちに微笑みかけてくれているんだよなぁ。
 
 
 
特濃ミルク

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