滝和也

宇宙戦艦ヤマト <劇場版>の滝和也のレビュー・感想・評価

3.7
地球か…何もかもが
懐かしい…。

人類の存亡を賭けた
14万8000光年の彼方、
イスカンダルへの旅。

リアルSFの扉を開き
アニメーションが大人
をも熱狂させる事を証明
したパイオニア…。

「宇宙戦艦ヤマト 劇場版」

宇宙戦艦ヤマトの記念すべき第一作の総集編となる劇場版第一作。地球を襲うデスラー総統率いるガミラス帝国の驚異を跳ね除けながら、放射能除去装置を得るため、イスカンダルへ向かう宇宙戦艦ヤマトの活躍を描いた作品ですね。

古代進、島大介、森雪他若きヤマト乗組員の群像劇でもあり、異星人との接触からの戦記物であったTV版をより艦長である沖田十三にフューチャーし再編集した作品てなっています。

26話全てを使用する訳には当然いかず、重要な戦闘のみを繋いだ形になりますので、やや物足りなさはあるものの、ビデオすらなかった当時を思えば、ファンには充分楽しめる仕様だったと思います。

宇宙戦艦と言う概念、それ故に宇宙と言う大海原で描かれる艦隊戦、戦闘機と艦船の戦いと言うリアルな戦争モノとして展開されるリアリティ。そして戦争と言う国家間の存亡を賭けた戦い。ガミラスは自らの星の寿命により、地球への移住のため、地球を攻め、地球は破壊された星を回復させ、人類の生存を賭けて戦うと言う…。大義名分とは言えないまでも、各アニメの地球征服を狙う異星人とは違いを魅せるデスラー総統のガミラス。ガミラスのメンタリティは遥かに人類に近く、故に戦争モノとしてのリアリティは高められていましたね。

その頂点を成すのは、やはり七色星団の戦い。ガミラスを代表する勇者である将軍ドメル率いる艦隊とヤマトがイスカンダルを前にして対峙します。国の存亡をかけ、自らの武人としての誇りを賭けて激突するドメルと沖田十三。

実際の大和が轟沈した防の岬沖海戦をモチーフに空母を中心とした打撃機動艦隊であるドメル艦隊がヤマトを襲う。戦闘機による陽動でヤマト艦載機コスモゼロ、ブラックタイガー隊を引き離し、急降下爆撃機を瞬間物質移送器によりヤマト直上へ送り込む。そして第三波として大型魚雷を抱えた雷撃機を同様に送り、そして重爆撃機がドリルミサイルを艦首波動砲口へ叩き込むと言う必殺のドメル戦法。ヤマトを最大の危機へ落とし込みます。そして…武人ドメルに人類、いや日本人の矜持を見ます。

そしてガミラス本土決戦。デスラー総統自らが指揮をし、民族全ての血を賭けてヤマトに対峙。ヤマトも全力で呼応してしまうことで悲劇は倍増していく。戦争と言う愚かさを表すその悲しみに満ちた古代の咆哮がガミラス星に響く…。

我々がしなければいけなかったのは戦うことじゃない!愛すべきだったのだと…。

松本零士他、作成者たちは戦中〜戦後の生まれであり、ドラマ部分はその戦争と言う自己犠牲、人を守るための戦いを歌いながら、その悲しみ、虚しさを同時に訴えかけてくる…それがヤマト第一作をより美しい物語としているのは間違いないですね。よりそれを美化し、日本人の矜持にうったえかけてくるのがさらばとなるのは嘗てのファンなら誰もが知るところです。

ただTV総集編と言うことで、作画レベルはかなり低い。画質、編集も粗い。しかし何より、この作品が持った作風が大人まで巻き込んだのは事実。大ブームになりました。ここから、銀河鉄道999、そしてガンダムへと人気アニメのブームが続いていきます。小学生時代にこの流れで見ていてプラモをよく作りましたね(^^) また超絶美麗なリメイクも記憶に新しいですし、よりリアリティを持ち、楽しめるストーリーになってました。そのリメイクも遂に三作目、新たなる旅立ちに到達しますが、楽しみです。

追伸…ヤマト第三艦橋勤務ほど死亡フラグが立つ職場はありません…見たらわかりますね(笑)
滝和也

滝和也