みんと

狩人の夜のみんとのレビュー・感想・評価

狩人の夜(1955年製作の映画)
3.7
元祖サイコホラー作品、そしてその後の有名監督達の映画製作にあらゆる面で影響を与えた作品という事で鑑賞。

序盤ロバート・ミッチャム扮する悪役ハリー・パウエルのニセ宣教師ぶりがいかにも胡散臭くその冷徹さに嫌気がさす。
またその聖職者の仮面にあっさり騙される周りにもイライラは募るばかり。

ひとたび仮面の裏の非常さと強欲さが顕になり隠された1万ドルへの執着はもはや常軌を逸していた。とりわけ度々口ずさむ賛美歌の不気味なゾワゾワ感ときたら、、、

ところが隠し場所を知る幼い兄妹ジョンとパールの命が脅かされる辺りから一気にトーンが変わり気が付くと子供達目線で観ていた。
エキセントリックな犯罪サスペンスから一気にメルヘンを思わせる真夜中の逃亡の落差に圧倒され、またモノクロ表現が幻想的で神秘的にも感じられ不思議な感覚を味わった。

頭に焼き付く数々の構図をはじめ光と影、善と悪、純真と邪悪...
様々なコントラストで成る今作に古臭さは否めないものの味わい深くも感じられ、何より映画史を知ると言う意味で勉強になる作品でもあった。
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