滝和也

首都消失の滝和也のレビュー・感想・評価

首都消失(1987年製作の映画)
2.4
これ大映映画だったか…。
東宝だとばっかり…。
劇場で見ております。

こちら小松左京原作のSFクライシス大作です。小松左京の原作もので映画化されたものは、まず日本沈没。そして復活の日。この辺はまずまず面白い。ただこっからがヤバい作品…。さよならジュピターと本作、首都消失…。このヤバい作品を二本とも劇場で…。

突然首都東京を分厚い雲が覆う。その雲は巨大な円錐形であり、それは巨大な壁となり首都圏一体を日本から物理的に切り離した…。首都東京を失った日本はどうなるのか。切り離された家族は…。閉じ込められた人々の生命は…。

こう見ると面白そうでしょ?原作は凄く面白いんです。首都圏一極集中への警鐘を鳴らすシミュレーションを描き出していきます。政治・経済の中心である中枢を失い、他国の干渉も受け、日本はどうなるかと言う部分をリアリティを持って描かれる…。

でも…映画ではその部分の描き方が圧倒的に駄目で伝わってきません。事柄は描かれるのですが、伝え方が下手過ぎる。大阪のテレビ局のキャスターである名取裕子がメインでTVの報道から語られるだけで危機感が伝わらない。しかも彼女と彼女の恋人である山下真司と偶然出会った電気系大手企業の開発部長の渡瀬恒彦が、雲の壁を破ろうとする安〜い話が、メイン。これも大事なんですが…ストーリー含め地味で盛り上がらない…。特撮も頑張ってますが如何せん地味。首都圏の人々を救うタイムリミットもでてくるのですが、後何日とかカウントダウンするわけでもなく、危機を煽るやり方が下手過ぎ…。俳優さん達の熱い演技が空回りしているようで不憫でならない。

本来、シンゴジラのようにシミュレーションとして描く前半、活劇としての後半のようにハッキリさせればまだよかったのですが…両方共倒れ。凄まじいヌルさの作品が出来上がり、大不評となりました…。私の中でもこれは黒歴史…。映画化に全く向いてない作品だと思いました…。またそれを確認するため買う私も私ですが…。

今回気が付いたのですが、東宝でなく大映映画で徳間書店が後援なんです。考えてみれば、このコンビは後に傑作平成ガメラを生み出しています。それならばこの作品無駄ではなかったかもしれません…。こじつけですが…。
滝和也

滝和也