カルダモン

サンゲリアのカルダモンのレビュー・感想・評価

サンゲリア(1979年製作の映画)
4.0
数あるゾンビ映画の中でもピカイチなテクスチャーを誇る本作。汚くて最低に不潔で、他のゾンビ映画と比べてなんだかとても臭そうだ。
見慣れてしまった今となってはもっとヨゴシが入っていてもいいとさえ思うのだが、40年近く昔の映画にしては出来が良くて感心する。
どなたかのレビューでもあったのだが、顔が土色というよりは、もはや土で。
グチャグチャではないドライな質感は地域色の反映なのだろう。

本作でしか出会うことはないであろう名シーンも数多く、特にサメとゾンビの水中戦は70年代ホラーにしては新しすぎるブチ切れた発想。

ヤシの木が生い茂る島と、トロピカルな音楽、呪術的な太鼓の音が彩りを添え、燦々と照りつける太陽にノソノソ歩くゾンビが映える。
このステキなイメージの取り合わせは冗談抜きに発明だと思っていて、自分がルチオフルチならば写真集を同時に出版したいほど。
ゾンビは風景に溶け込んでこそ生きる。

個人的なMVPは冒頭のデブゾンビ。穏やかなマンハッタンの海とビル群とクルーザーをバックに屹立する彼、素敵。