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早池峰の賦
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『早池峰の賦』に投稿された感想・評価

すえ
4.7
記録

【神楽】

瀬川順一特集@シネ・ヌーヴォ、フィルムで。これも目玉のひとつに数えていたが間違いではなかった、傑作。

我々が近代化によって主体を確立してゆく過程、信仰の世俗化によって失ってしまったものが確かに息づいていた。権現舞を拝む老女の顔面に宿る信仰、あの表情が映画を決定づけていると思う。

また、変わるもの/変わらないものの両方が描写されていた。変わらないものは、上に挙げたような信仰の形態と伝統の継承(世代とともに表現に多少の変化はあると考えられるが)であり、変わるものは例えば南部葉(からバーレー種)、住居(藁葺きから近代的家屋)などである。近代化の影響を確かに受けながらも、その上で適応してゆく早池峰の人々がいる。

早池峰神楽における身体というものは、おそらく西洋の舞踊や日本の舞踏とは全く異なるもので、神を表現する媒体として機能しているのではないか。身体表現の目的として舞があるのではなく、舞それ自身が祈祷という役割を備えているものでもあり、神を身に宿す(降ろす)ためのものであると考えられる。そうして媒介として機能する舞の身体は、たとえ世代や人が変遷したとしても本質的には変わらない。

村民で継承されてゆく神楽は、常に村民という批評家の目に晒されている。子供から大人まで、彼らはなべて批評の視線を芸に向けており、それゆえに芸が鋭く洗練されてゆく。

都市の人間の眼差しは、神楽を異化し特殊な芸能と認識してしまうが、早池峰の人々にとってそれは特殊でも何でもない。特別ではあることには変わりはないが、神楽は彼ら彼女らの生とともにあり、物心つく前から内面化されていると考えられる。

終盤の雪山の肌を捉えたショット群が素晴らしい(あれは瀬川順一だろう)、雪の表面を撫ぜる風、その空気が本来見えないはずなのにも関わらず見えてしまう驚き。その数ショットはほとんど、彼自身影響を受けたフラハティ映画のショットと同じ感覚を宿している。瀬川自身がお気に入りらしい「エビのシッポ」という岩に形成された氷のショットが殊に素晴らしい。一瞬光が差し、雪肌を煌めかせたかと思うと、直ぐに翳りが戻ってくる。この刹那の陽光、これ以上の光線を映画で見たことがないかもしれない。

とにかく素晴らしい映画だった、こんな稀な機会をつくっていただけたことに感謝。ドキュメンタリーのことは考え続けなければならない。

2026,33本目(劇場30本目)2/5 シネ・ヌーヴォ
auchan
-
ほんとありがとって感じ。傑作ね。
フィルムって寝かせないぞっていう光の出力してる。その通り一睡もせず見れました。羽田澄子もセンスいいよね構成の。ノーナレーションで押し切るタイプじゃなくて、合いの手みたいにナレーション入れてくる感じもおもろい。

撮影も構成も完璧なので見てください。構成が見やすくて尺ちょうどって感じ。あれくらい見せてくれないと勿体無いよねっていう。

最初曲り家の解体から変わりゆく民家と暮らしを語りつつ、変わらない神楽を語って、変わりゆく南部葉の栽培というまー盛りだくさんって感じで。個人的には曲り家に興味があったから解体見れたのとその形にある物語をしれたのがデカい。

あのなかなか見れないおっちゃんの踊りのシーンすごかった気がする。アングルもまともに撮れてなくて、カメラもそれまでと違って一台で何とかフォローするって感じやったけど、踊りが凄すぎてすごいシーンになった感じ?ナレーションもそれを語ってたけど映像が先行してあった。

ある一家の紹介するときにウェスアンダーソンみたいに並べられて名乗っていくのおもろい。わかりやすいしみんな喜ぶだろうし、いいよね。
102
5.0
神楽は当然だけど、音楽が素晴らしい。秋山邦晴さん。
尺の情報が間違ってる。実際は186分。リールチェンジがある。