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玉割り人ゆき
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『玉割り人ゆき』に投稿された感想・評価

✔🔸『玉割り人ゆき』(3.8p) 及び🔸『玉割り人ゆき  西の廓夕月楼』(3.8p)▶️▶️ 

 我々の世代にとって、邦画の最もときめかせてくれた、創り手の側の名前は、田中陽造かも知れない。映画を意識して見始めた’70年代始めから80年代終盤まで、ベストテン投票の作品は、軒並み彼の脚本によるものだった、と言っていい。笠原和夫だと自分の父親より上の世代なので、10数歳少し歳の離れた兄貴のような、その天才をもてはやし易い存在だった(後で調べると勘違いしてたようで、田中陽造の生年は更に少し上のようで父と長兄の間くらいだったが、先に書いたこの後は消さずに残す)。洋画は脚本家名を殆ど知らないので、その頃の似た感覚は、ファスビンダー·スコセッシ·ザヌッシー辺りか。とにかく、田中の脚本に成る傑作発表者は、清順、神代、中生、関本、小沼、相米、と枚挙にいとまない。そして’70年代中盤は、この牧口監督デビュー作2本を邦画の年間ベストテンの後半に入れ、同じ東映の新鋭、関本の2本はトップに近い位置にランクした。書いたりするときも「陽造=○○による傑作」と監督と同等扱いが普通だった。
 勿論牧口の、低予算に怯まない自信と味わいに充ちたタッチにも魅了される。多くの人が端から期待しない時代再現を、個人的鋭い次元に置き直してる。アップを押さえるにも望遠に頼らず接写に近いのも楽せず向かう、ソフトや凝ったトーン·白黒スチル重ねのシーンも効果的にあるが嵌らない、雪に落ちた椿の花や造り物だが舞う蝶らの詩的活用、手持ち多くも不安定さなくとりとめない自在が心地よく、傾いた狭く得意な図も普通に入ってきて居座る力、リリカルな音楽多様(2作目は凄みも)、血の噴出や染まりも手応え浮つかない·丁寧で身体の一部手触り、絡みも一作目の剥き出し裸体の部位重ねから·二作目の着衣から覗く肌や突起の組み立てられ行くエロティシズムへの高度化も·共に流していない、アングル取り·切替·組立も多者の視線がしっかり絡み立体的で時を逃さぬ、昭和初期軍国主義入口時代の京都島原や金沢の風土感風情の雪や雨·枝や花の囲い·人佇まいの格、等冒険はしてないにしても、しっかり緩めず斬新への姿勢が伝わりくる。何よりキャラらの、パターンを超えた気概(の空回り)の息づかいだ、ピュアで聡明だ。それは歯止めを見えなくする。
 只一作目は、各種ショットが自己の位置を確かめながらの·落ち着かずフレッシュに張り詰めた、独力清新の初々しい連続なのに対し、二作目は同種のショットをそのシーンを通底するものを隙間なく滑らかに相互噛み溶け合わせ繋いでゆく。演技も一作目は、覚束ないのが逆に新鮮で、川谷がそのバラけを纏め上げてく。二作目は、中島や赤影さんを始め艷やかな芸達者が複数何人もが引っ張ってゆき、ヒロインも一作目に比べ格段に堂に入っててそのベテラン陣の攻勢に勝つ事は無くも怯まない。
 一作目は、島原で女(の面)を捨て、娼妓に性技を教え·足抜けの管理処罰もする、若いが有能な玉割り人が、世の不正の(視えきらない)実態に誠実に都度自己修正し、「自由」に向け大杉栄らの抗議の「花火」を上げんとしてる、アナホル?=無政府主義者の男と、互いに思わぬ男と女に回帰し、廓を離れ添い遂げんとするも、以前の彼女の懲罰絡みで性器を失った男のつきまとい·通報と凶行で全てを失う。一方、彼女が面倒見すぎて、アナホルの弟分の恋人を失った水揚げ時の少女は、この世界を若さの勢いか、乗り切らんとしてる。
 二作目は亡き母といた金沢に戻り、「疎ましいのではなく·自ら激しさを求めてる春画」の作者で、客観的方向を見てる裏で、安頓の流れに小石を放って、なるべきを段差変える惨に持ってく「悪魔」的でもある老人(ラストカットの橋上で個性と諦観を表しながら離れてく彼とヒロインの陽炎的図がふくよかに締める)の不思議な操り侭に、地方浪曲師の鼻をへこませ頓死させ·里帰りの栄光を出自の廓主人に戻り芸の道捨てた男への、死者の娘としての父の仇への憤り·その相手と一夜の男女関係になった愛おしさ生まれとその後もつきまとわざるを得ない·自己も相手も二重の無力感「地獄」に引込む·娼妓へも身を落すの女の、余りに独自な舞台の一員止まりも、また、心を閉じた玉割り人から男と女の自然な逆らえない相思·そして相手の真っ当「活気」戻りに一旦は力を持つ、ヒロインのまた小世界が結構大人の無理ないあり方で、地獄への女に一方的に負けてない。
 只、牧口があの、石井輝男を発展させた様な華々しさ?異様スペクタクルに向かうとはこの時点では想像もしておらず、個人的には慎ましめメイン世界の方が好みだったのだが。もう一方、関本は、『天使の欲望』まではピッタリ嵌り、上板だったか特集上映で来てた本人を見つけ握手したか·賛辞を送ったかの記憶がある(質疑応答等は好きだが、積極接触は他には、同じ近づき方今岡さんや、初主演作〜今復元版話題の『父ありき』〜を1観客鑑賞·40数年前小津ブーム到来前の人も構わずススッと通り過ぎる·ひっそり笠さんにサインを頂いた二回だけか)。
遊女に手練手管を伝授する「玉割り人」の女性(潤ますみ)が、アナーキストの青年(大下哲矢)に心惹かれていく。遊女の育成に従事している女性の生き様を描いている、エロティック・ドラマ。

「男の性具になること」に抗っている主人公が、特別な青年との出会いを通して、性愛の意味を諭されていく。京都・島原遊廓の裏事情を題材に扱っており、玉割り人という特殊な職業にケレンミが備わっている。

端役では、廓で不祥事を起こし、罰としてチンポを切り落とされてしまう川谷拓三が、助演男優賞レベルの芝居を披露してくれる。棹なし男としての演技があまりにもリアルであり、ラストの寄り目演技が素晴らしい。

主人公によって性技を伝授されるヒロイン(森崎由紀)が、おぼこい田舎娘の雰囲気をしっかりと漂わせているところも好印象。微乳で寸胴だけども、雪も欺くほどの美白を誇っており、「磨かれる前の女」としての説得力に秀でている。
4.0
1975年製作公開。原作三木孝祐、松森正。脚色田中陽造。監督牧口雄二。同時上映『札幌・横浜・名古屋・雄琴・博多 トルコ渡り鳥』。東映ポルノと呼ばれていた作品群がありました。本作は東映ニューポルノ製作費500万円。

玉割り人とは、遊郭に売られたフレッシュギャルに性戯を教える役目を持つ女。大正時代の話なんでフレッシュと言っても田舎育ちのそれなりの女子ですけれど。そのフレッシュギャルを彼女が品定めして女の等級を決める。その品定めというのは目視するのではありません。玉割り人が五感を駆使して女たちを攻め立て、性感反応と分泌物を確認して、この娘は一級ですよ特急ですよ、とかなんとか。それを聞いて狒々爺が値を付けるのです。

その玉割り人/ゆきを潤ますみが演じます。日活ロマンポルノで彼女を観ていた頃、彼女のお顔はもう少しふっくらして可愛いお顔で大きな形のいいおっぱいとのアンバランスがまたなんとも。日活ロマンポルノを経て本作の玉割り人。お顔がキリリと締まっていていかにも冷酷で薄情な権力側の女です。遊女の足抜きの仕置きをするのも彼女たちの役目です。

ある女が足抜きを試みます。捕まった女曰く、逃げ出せばどんなことになるかは知っているけれど愛し合った川谷拓三がその時は一緒に死のう、と。それを聞いた川谷拓三は、そんなことは言っていない!!この女に唆されたんだ!助けてくれ!!仕置きをしていたゆきは冷ややかに聞き流します。女の生爪を、1枚2枚と引き剝がします。どうする、この男の始末は。ゆきは、女に問いかけます。川谷拓三の男が欲しい。小刀を女に渡すゆき。躊躇する女。やめてくれ、クンタキンテの如き地叫び。気を失いそうに慄くわたし。緊張が走る中、ゆきが小刀を手にして躊躇なく川谷拓三の男根を切り落とす。わお。

そんな彼女も知り合った無政府主義者大下哲矢に身もこころも蕩けてしまう。女を捨てた玉割り人だったのに。また女になってしまった。東京へ行くという大下哲矢に付き従うゆき。だがそこに立ちはだかる川谷拓三。

原作は劇画なのだそうだけど、物語はロマンポルノの脚本の主翼を担っていた田中陽造の世界が満ち溢れている。そして牧口雄二監督の端正な演出。

国立映画アーカイブ 逝ける映画人を偲んで 2021-2022(監督/牧口雄二) にて

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