K助

今そこにある危機のK助のレビュー・感想・評価

今そこにある危機(1994年製作の映画)
2.9
実は初めて観る、ジャック・ライアンシリーズ。

CIA情報担当官ジャック・ライアンが、コロンビアの麻薬カルテルと、合衆国政府の権力闘争に巻き込まれるお話。

この手の政治モノでは珍しく、俗物の極みなアメリカ大統領、中間管理職的な大統領補佐官、官僚然としたCIA作戦担当副長官と、彼らがライアン博士の足を引っ張る政治屋集団。
対する麻薬カルテルは、粗暴なトップと現実的な参謀。アメリカ映画だと、南米麻薬カルテルのトップは「なんでお前みたいなのがトップで、組織が崩壊しないの?」と思うこともしばしばだけど、本作もその例に漏れない。そこを逆手に取ってドラマを構成するところに、原作の非凡さがあります。

麻薬カルテルの精製工場を破壊する為にコロンビアに潜入中の特殊部隊隊員は、政治的判断により見捨てられます。そんな彼らを助けようとする現地工作員をウィレム・デフォーが演じており、なかなか美味しい役どころです。
そのデフォーと、ハリソン・フォードがアクションを展開する後半部は、劇場公開作品である為の「盛り込むべきお約束」を感じますが、「政治的な判断」とやらが招く危機は、上手く処理されていたので、満足!

映画の制作時期は1994年。ソ連崩壊により冷戦構造が終わり、明確な敵が見えなくなった時代の作品です。そういう時に、トム・クランシーの原作はピッタリだったな、と思わされます。
物語としては面白いですが、別に映画館で観なくてもいいよね、という仕上がりでした。
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