K助

シン・仮面ライダーのK助のレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
2.3
「過去の名作に寄生するの、もう止めてくんない?」

劇場で観ながら、僕の頭の中でひたすらにリフレインし続けた言葉。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』とタイトル発表後、雨後の筍の如く乱発された「シン・ユニバース」の最後を飾るタイトルであり、多分トドメを刺した作品である。

『シン・ウルトラマン』はYouTubeでプレミアム公開された冒頭10分33秒、ウルトラマン登場までが全てであったが、この『シン・仮面ライダー』も同じ。YouTubeでも公開されていたカーチェイスからの仮面ライダー登場、ショッカー戦闘員を虐殺、までで、ほぼ映画として語るところを消化してしまう。
あとはただ、浜辺美波の美しさを鑑賞するだけの映画。自分的にポジティブに評価出来るのは、美しき浜辺美波を一時間半魅せてくれた、というその一点だけだった(苦笑)

脚本が酷い。
演出がダメ。
CGは出来不出来が激しい。
どこかで見たカット割多数。

庵野秀明、この人の作劇能力はTVエヴァ〜旧劇の頃から進化していないんだなぁ、と痛感させられる内容だった。
初っ端から『新世紀エヴァンゲリオン シト新生』のセリフである「エヴァシリーズ、完成していたの?」のセルフパロディ、「バッタオーグ、完成していたのですか」でズッコケる。その後も、思わせぶりな単語と早口な解説、オマージュという名のオナニー要素を繋ぎ合わせて作られた物語、と「庵野作品」の面目躍如。

「誰も見た事のないアクション」を標榜しながら、印象に残ったアクションは最初のライダー登場シーンだけなんだよね。その後のアクションシーンは、驚きもなければ緊張感もない。
NHKで放送されたドキュメンタリーでは、監督はフワッとした言葉で現場に丸投げ、「事前に考えられたものに驚きはない」とかもっともらしい事を言いつつ、「僕の頭の中にあるイメージを察して、僕が見て嬉しくなるシーンを誰か作ってくれないかな〜♪」という他力本願ぶり。そして出て来たのが、40年前のカンフー映画を劣化させたようなアクション。

役者も、低レベル。主人公の本郷猛を演じる池松壮亮、第二の主人公である一文字隼人を演じる柄本佑、裏主人公とも言える森山未來。どれも演技が酷い。
演技の下手さに脚本のダメさ、観客に伝える気のない演出、見飽きた庵野的カット割が加わり、非常に苦痛な二時間を耐える経験を積む事に。

評価出来る点は、浜辺美波の美しさに、原作コミックを意識したラストシーン、そして立花藤兵衛と滝和也の扱いくらい。
シン・ユニバース、僕的評価は『シン・ゴジラ』>>>『シン・エヴァンゲリオン劇場版』>『シン・仮面ライダー』>>>>>>『シン・ウルトラマン』かな。
庵野秀明の扱うモチーフにはとても惹かれるが、庵野秀明のアウトプットは不快、という現実を再確認させてくれた映画だったと言える。
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