K助

シン・ウルトラマンのK助のレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
1.4
「怪獣」が「禍威獣」になり、「科特隊(科学特捜隊)」が「禍特対(禍威獣特別対策室)」と言い換えられた時点でドン引きだったのですが、YouTubeで公開された冒頭1分17秒が思いの外に良かったので、観に行きました。

おそろしく、後悔しましたよ…。

案の定、良かったのは冒頭1分17秒、『ウルトラQ』を意識したところまで。禍特対メンバーが現れたあたりから、雲行きが怪しく。
有岡大貴の演技が、すさまじく下手。これで飯を食えるまで、日本の娯楽産業は低レベルになったのか? 早見あかりも台詞回しと顎下の肉の弛みが酷い。それに引きずられるように、西島秀俊のしゃべりもグダグダに。

庵野作品の特徴である、大量の台詞を早回しする演出に、役者の滑舌が着いてきていません。長澤まさみも、台詞量の多さにアップアップ。斎藤工は意識的に平板な演技をさせられているので、これは仕方がない。山本耕史は、役柄に救われたかな?(苦笑)

それでも、ウルトラマンが初登場して、透明怪獣(禍威獣)ネロンガを倒すところまでは、良かったと言えます。その後は、テレビ放送されたものを、評判の良かったエピソードをいくつか選んでまとめました、的な総集編レベルに落ち着きます。
「外星人と地球人の関係」というテーマはあるのですが、個々のエピソード間の繋がりが希薄でぶつ切り感が強く、どうにものめり込めません。物語から置いてけぼりを食ったまま上映が終わり、「やはり第一印象は正しかった」と肩を落としながら劇場を出た私。

テレビ放送されたものであれば(まだ)アリですが、映画作品として劇場で見せられると怒り心頭。公開前に「ウルトラマンのデザインが、初期案に準拠!」という事ばかりが話題になった時点で気付くべきでした。「これは、アカン」と。
外星人と地球人の関係を描こうとしておきながら、人間関係は全く描けていません。最も端的な関係である「斎藤工と長澤まさみのバディ感」さえ希薄なのだから、それより扱いが低い他の登場人物については、推して知るべし。オマージュだかリスペクトだかは知りませんが、変なこだわりと長澤まさみに対するセクハラ演出ばかりが突出し、トータルのクオリティコントロールに失敗している、というのが僕の評価です。

つかさ、あのゼットンはどうかと思うし、過去作への執着が大切なら、バルタン星人を取り扱わなかったのも疑問。外星人と地球人の関係性なら、バルタン星人ほど適した相手はいないのに…。
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