ヨダセアSeaYoda

あの頃ペニー・レインとのヨダセアSeaYodaのレビュー・感想・評価

あの頃ペニー・レインと(2000年製作の映画)
4.2
“ベッドの下で自由を見つけて”

“家に帰らなきゃ”
“ここがあなたの家よ”

【STORY】
 厳格な母に神童扱いされ勝手に弁護士になることを期待されるウィリアムは、母に期待されずに家を出た姉が残したレコードでロックに目覚め、ロック雑誌のライターを志すが…。

【REVIEW】
 まずケイト・ハドソン演じる、チャーミングで奔放でおしゃれで美しい、ペニー・レインというキャラクターの圧倒的魅力には主人公と共に息を飲んでしまう。

 そんな、ウィリアムや観客にとってのファムファタール的存在であるペニー・レインだが、ペニーも決して人を惚れさせて振り回すばかりの”魔性の女”ではなく、彼女が見せる快活さ・奔放さと、時折見せる弱さとのギャップが今作を味わい深くする。
 一方、フランシス・マクドーマンド演じる厳格な母はひとりよがりでクセのある親だから、親にひたすら反抗して自由を掴む物語にもなりそうな所、母親も”クセがある”だけで正しさがないわけではなく、ウィリアムと共に行動するロックスターに、”常識ある一般人”視点の言葉をかけて唸らせたりするし、ハメを外しすぎなウィリアムを見ると母親の主張が決して間違いとは言えない、その点も味わい深い。

 ペニーを圧倒的小悪魔にしたり、母親を圧倒的に毒親として描けば、誰が被害者だとか、誰が騙されているとか、誰がおかしいとか、そんな凝り固まったストレートな結論を提供することもできそうな内容だけに、そう簡単ではない人間模様を多面的・多層的に描く今作の曖昧さがひときわ完成されて見える。

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観た回数:2回
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