KouheiNakamura

アメリカン・ギャングスターのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

4.3
青い魔法が終わる時。


リドリー・スコット監督が実在したギャングと捜査官の物語を映画化。普段は品行方正で家族思う、しかし裏では麻薬ビジネスを行うギャングのフランク・ルーカス役にデンゼル・ワシントン。私生活はだらしないが、胸に熱い正義の心を秘めた捜査官リッチー・ロバーツ役にラッセル・クロウ。二大オスカー俳優の競演に胸が踊る。

今回鑑賞したのは劇場公開版より20分ほど長いエクステンデット版。基本的な話の流れは同じだが、ラストカットがかなり違うようだ。劇場公開版のエンディングも観たが、個人的にはエクステンデット版の方がこの物語の本質を描いていると思う。

基本的には二人の男の物語を、あまり誇張せずに淡々と追っていくような作り。映画らしい盛り上げは控えめだが、その分じっくりと腰を据えて見られて良かった。
フランクが家族を大切にする一方、リッチーは離婚裁判の調停中。リッチーが決して不正を働かない一方で、フランクは必要とあらば殺人も辞さない。一見正反対な二人だが、決して譲れない信念を持っている部分だけは共通している。そんな二人がいよいよ邂逅する場面の味わい深さは絶品。

決して派手な映画ではないが、骨太な力作。オススメです。


余談だが、コーエン兄弟のミラーズ・クロッシングで印象的な演技を見せたジョン・ポリトがちょい役で出ていて笑ってしまった。素晴らしい存在感!
KouheiNakamura

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