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どん底の一のレビュー・感想・評価

どん底(1957年製作の映画)
3.5
黒澤明監督作品

陽の当たらない江戸の場末にある荒れ果てた棟割長屋に暮らす、鋳掛屋、夜鷹、飴売り、遊び人、役者くずれ、泥棒、お遍路など、様々な人々と嫌われ者の大家夫婦が織り成す人生模様をユーモラスに描いた辛口悲喜劇

まさに社会の最底辺にいる“どん底”のような生活を送りながらも、どこか楽観的で楽しそうな人々を微笑ましく観ていられるけど、後味の悪すぎるラストにすべて持っていかれる

能天気に歌う姿や、お遍路おじさんが出てきてからは物語に明るさが出てきてより優しい展開になる
底抜けの明るさがあれば貧しくても楽しく生きて行けそうな人々だけど、少しでも歯車が狂ったらもうお終い
結局最後まで“どん底”に突き落としたまま終わってしまうのは苦しいけどこれが現実…

黒澤作品では珍しく低予算の早撮りとのことで、まるで舞台劇のような狭いセットの長屋内で進むスケールの小さな『どですかでん』的な貧しい暮らしぶりですが、美術も衣装も細部渡り非常に丁寧に作り込まれています

にしても香川京子さんは現代でも通用するくらいのアイドル顔でめちゃくちゃ可愛かった
ちなみに本作は三船敏郎が出演していながら志村喬が出演していない唯一の黒澤作品らしいです☝🏻

〈 Rotten Tomatoes 🍅※83% 🍿80% 〉
〈 IMDb 7.4 / Metascore - / Letterboxd 3.5 〉

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