踊る猫

腑抜けども、悲しみの愛を見せろの踊る猫のレビュー・感想・評価

3.9
これはなかなか面白い。佐藤江梨子氏の演技がキマっていて、『ヘルタースケルター』の沢尻エリカ氏を彷彿とさせた。懸命にやっているんだな、という感じで。登場する人物の誰にも共感出来ないところが素晴らしい。自己中心的な考え方をする人ばかりが絶えずいざこざを起こし(永作博美氏は例外だけれど……例外じゃないかな?)、最後の最後で爽快なハッピー・エンドに持って行く手管は並ではないなと思わされた。身内にあんな姉が居たら……と思うとちょっと引いてしまう。人間の本質とはああいうものなのだろうか……と陳腐な台詞を吐いてしまいたくなるのだった。ロングショットで撮られた田園風景や、随所に効果的に配置される「赤」が鮮烈に印象に残る。これを観逃していたのは危ういところだった。
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