1990年代にあった湾岸戦争。
1960年代にあったベトナム戦争。
戦争映画も随分変わってきたものだと思います。
アメリカ:正義、外国(又はインディアン)悪、という単純な構図ではもう戦争は描かれなくなってきたのがベトナム戦争ものでしょう。
映画の中の台詞にもあるけれどベトナム戦争は「負け戦」という傷が湾岸戦争でも引きずられているという印象を受けました。
この映画はイラクが敵の映画ではありません。
戦場で一体、何が起こったのか?証言者の証言が一致しない、いわば芥川龍之介の『藪の中』なのです。
最後は真実がすべてわかりますが、それに至るまでの調査がメインの物語であり、自分自身、戦場で心に傷を負ったデンゼル・ワシントンが、メグ・ライアン演じる女性大尉の調査をしていくうちに「真実を隠蔽する」ことに反感を持ち、除隊処分覚悟で調査をしていく、そして自分自身の心の重荷をおろすまでの物語です。
役者さんは皆、リアリティがあって若いデンゼル・ワシントンはさすがスターという貫禄を持っています。
背が高く、スタイルが完全な軍人できっちりした軍服がよく似合う。
自分の命が危険にさらされた時、人はどう行動するか、綺麗ごとばかりではない戦場で誰が敵なのか?を考える映画。
一番リアルだったのは、マット・ディモン君の痩せ方ですね。
戦場にいるときはがっちりしているけれど、心に傷を負って帰国した後はげっそり別人のように痩せている。
戦争ものを久々に観ましたが、戦争ものは通常ではない音の連続なので、音響がとても大事だと再確認しました。
戦争映画は音が命。