滝和也

吸血鬼ハンターDの滝和也のレビュー・感想・評価

吸血鬼ハンターD(1985年製作の映画)
3.6
仮初の客は闇に
帰るのが定めだ…。

孤高なりし宿命の星に
産まれし、その美丈夫は
貴族と呼ばれし吸血鬼を 
狙う狩人(ハンター)

その半身を魔とした
ダンピール D…。

「吸血鬼ハンターD」

菊地秀行原作、挿絵に天野喜孝を得た妖艶にして美しいヴァンパイアハンターDの活躍を描く80年代から人気を誇るSF伝奇小説の初のアニメ映画化作品。今で言うライトノベルの様な読みやすさと未来の荒廃した世界でありながら、中世の混沌とした世界観がDの宿命と相まって抜群の面白さでしたね。

貴族と呼ばれし吸血鬼が支配者として君臨する未来世界。辺境の村で少女ドリスは領主リィ伯爵に血を吸われた。伯爵に対抗するため、ドリスとダンの姉弟は一人の男を雇う…吸血鬼ハンターD。その男は圧倒的な剣技で伯爵一派に対抗していく。

当時から天野喜孝の凄絶なイラストがそのままアニメになるとは期待できませんでしたから、このレベルで充分、なにより、配役、声優さん達が雰囲気でカバーしてくれてましたね。クールかつ半妖の美しさを持つDには塩沢兼人さんが、また敵として伯爵に御大加藤精三。用心棒のミュータント麗銀星に曽我部恵一さんと旨さと手堅さ、そして声に色気のあるメンバーが揃い、安心して見て聞いていられました。

元々原作が、二転三転するサスペンス性に優れたもので、Dへの謎の部分も魅力溢れてますから、一定レベルあればまずつまらないことはない。各ミュータントたちも当時新しかったし魅力的。あと…要は作品の柱は西部劇のシェーンですからね。一作目にして手堅い作りなんですよ。

音楽も若き小室哲哉。まだGet Wild書く前。TMネットワークのユア・ソングが主題歌。才能の一旦を披露されてますね。おどろおどろしい感じの曲が素晴らしいです。

これ、映画館でみてるんですよね。短期特別上映だった気が。ザンネンなのはこれ原作まだまだあったのにシリーズ化されなかったところでしょうか。永井一郎さん演ずるDの左手の人面疽とか、おもしろかったんですけどね。神祖さまとの関係とかはっきり見たかった。リメイクでやってくれないかなぁ…(^_^)
滝和也

滝和也