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最後の晩餐のHKのレビュー・感想・評価

最後の晩餐(1973年製作の映画)
3.8
マルコ・フェレーリ監督によるフランス映画。キャストはマルチェロ・マストロヤンニ、ウーゴ・トニャッツィ、ミシェル・ピコリ、フィリップ・ノワレなどなど

4人の中年男性の仲間たちが、とある郊外にある別荘に集合した。彼らは4人ともパイロットや料理人、判事やプロデューサーなどその道のプロフェッショナルばかりの富裕層の人間である。彼らは人生に絶望し、集団自殺を試みようとしていた。しかし、その手法は…

人生に絶望した4人の中年男性たちが、とある別荘に高級食材を大量購入し、そこで大量のブッフェを作りながら、食べまくって死んでしまおうと画策する。

美食家たちが、食べながら死ねば恐らく一番いいやり方で天国に行けるという安直な思いつきから、それを実践しようとするものの、そこに待っていたのは想定していたものとは真逆の地獄絵図であった。

この映画が製作されたのは1973年。映画における性描写の開放というものに着眼点を置いて映画史を調べればわかると思いますが、この頃がちょうど性描写の自由度が最高潮に達していた時期というのも伺えますね。

特にこれまではヘイズコードだとかそういうのが原因で、アメリカではそういう描写がほとんど閉ざされたままだったのに対し、フランスやイタリアも恐らく影響を受けていたわけで、その反動がすごかったのでしょうね。とにかく露悪的でとんでもないエロ描写と私の大嫌いなスカトロ描写をぶち込んできます。

しかし、スカトロ描写は大胆で、どちらかと言えばコメディチックに描かれているので、そこはまだまだエンタメとして昇華できる演出方法だったので良かったと思いますよ。あそこのトイレの配管爆発シーンは腹筋崩壊ものです。

映画内における登場人物たちのキャラクターも際立っています。そして、彼ら一人一人の死に方もユニークで面白いものばかり。一番ひどい死に方は恐らくミシェルでしょうね。具体的には言いませんが、酷い。

美食家とか、食事を粗末に扱う人間が許せない人たちは、この映画に感情移入することはできないでしょうね。シェフによる独特で一見すればとても美味しいそうな創作料理も、彼らはぞんざいに扱った揚げ句に、碌に完食もせずに捨てていきます。ただの娯楽のための玩具としてしか使用していないところも、ある意味退廃的で面白いです。

ひたすら、酒と料理と女があれば、快楽のうちにあの世に行けるさと思う人間たちによるデカダンスを、何一つ脚色することもなく見せられるために、そういうのが好きな人からすればたまらないかもしれません。

自分は『リービングラスベガス』みたいな似通った題材の映画が大好きなので、この映画のテーマ性とか内容にはかなり興味を持ってみることが出来ました。それでいて、前述したとおり、例の配管爆破シーンなどあまりに馬鹿げたシーンも頻発していたために腹筋崩壊。かなり楽しんでみることができましたよ。

まあ確実に人を選ぶ内容の映画だとは思いますが、人が無様に死んだりする姿を見たい露悪趣味のある人とかなら見てもいいんじゃないのでしょうかね。

映画内では女の人のヌードも拝めますが、はっきり言ってエロくないです。小学校の引率の女の先生が、最後まで彼らの雄姿を見届けますが、彼女色んな意味でグラマーなのではっきり言ってエロくないんですよね。だからそういう狙いでこの映画を見るのは最適ではないかと。

いずれにしても見れて良かったと思いますよ。やっぱり料理は普通に食べたいものですよね。
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