えびちゃん

泥の河のえびちゃんのレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
4.0
子供の演技が凄い、という気持ちと子供にこんな演技させないで、という気持ちが拮抗している。9歳児にして世が公平ではないということを知ってしまった絶望感が表情だけで切々と伝わってくる作品だった。
終戦から10年後の大阪。川っぺりに住む家族と船上生活者との邂逅。川と丘には大きな隔たりがある。川に落ちたら這い上がることはきっと難しいのだろうな。のぶお家も陸から下がった、極めて川よりの生活だけど、両者は明白に線が引かれている。川に落ちたら泥に足をとられて這い上がることはできない。あのおじさんのようにだ。水上で生きることしか出来ないきっちゃんと銀子ちゃんのおかあさんがたどる先もきっとあのおじさんと同じなんだろうなという絶望。もはやレビューの着地点が見えてないのだが、今のわたしたちができることはきっちゃんや銀子ちゃんのような子を川に落とさないこと。落ちてしまった子を救いあげること。子どもの貧困解決について引き続き関心を持って行動し続けたい。
わたしが名画座の編成担当だったら『冬冬の夏休み』と本作の二本立てを上映する。
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