む

ダークナイト ライジングのむのレビュー・感想・評価

ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)
4.3
前作「ダークナイト」が名作であったが故に、中々評価は伸びていないけれど、トリロジー三部作を完成させたのは今作だった。
どんな芸術や仕事も、花形だけでは完成しない。今作が前作の影に隠れていることを考えると、作品としての完成度を示しているように思える。

思い返せば1作目の敵は、どこか上品過ぎる敵だったかもしれない。巧妙に隠されてきた違和感を、今作で一気に詰めていく展開は驚きの連続だった。
クリストファー・ノーラン監督“らしさ”が、三部作全部を通してゆっくりと、じわじわと盛られていた事に気づかされる。


敵に共通していたのは、常識や非常識以前に「とても個人的で破綻した理論」を突きつけてくることだった。
「世界に合わせて自分が白になるわけではなく、世界が黒くなればいい」という、まるでオセロゲーム。パタパタと瞬く間に変わっていく様子は、現実でも起こりそうな節があるから、尚更恐怖や狂気を感じてしまった。

それにしても、アン・ハサウェイ演じたキャットウーマンが美しすぎる。ナイトスコープを猫の耳に見立てているの、発明すぎない?原作知らないけど、ノーラン監督が考えたことだとしたら、すごい想像力だなと思わされる。


常に悪と善の淵に立ちながら、闇に紛れて朦朧と戦ってきたブルース。ラストは真っ白な光へ飛び込んでいく姿を想像しながら、爆発と夜明けを観ていた。
バットマンというシンボルと、ロビンというニューヒーローがゴッサム・シティの太陽になってくれることは間違いない。
む