む

土を喰らう十二ヵ月のむのレビュー・感想・評価

土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)
4.0
土井善晴先生大好きなので、料理監修と知り観に行ってきました。
芸術作品を観れば作者がわかるように、料理にも作り手のクセや個性が形として残るということを、改めて感じさせられるほど、料理から土井善晴を見ました。これには驚き。

あの素材と会話しているような料理と手仕事は、適当なようで凄く品があり、ケジメがある。
人生にとっても大切なことだろうと、僕も身につけられるよう、日々目指しています。


映画の内容としては、孤独な男の半自給自足を描いている。と同時に、進歩していく科学と世界への不信感やアンチテーゼみたいなものも感じました。

人間も地球に生まれた生命であり、普通であれば、自然の摂理である循環の輪の中にいるべきだが、今や燃料や環境など人間は消費するだけの生物になっている。

かけ離れていく世界や人間に不信感を抱きつつある人には、こうした土臭い生活みたいなものに憧れや答えを抱くのかもしれません。

しかしそうは言っても社会と切り離すことは難しいし、本当にこの暮らしがいいのかという疑問も残る。
けれど、こうした提案や作品が生まれるということは、僕ら一般人もこうした問題に真摯に向き合う時なのかもしれません。


「リトルフォレスト」のレビューで書いたけれど、こういった映画を作れるのは日本だけなのではないかなと思います。
旬を感じ、四季折々の中を染み込みながらの生活は、自然豊かで情緒を楽しむ民族ならではないでしょうか。
む