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CUTIE HONEY キューティーハニーのshxtpieのレビュー・感想・評価

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っていうか、レンタル料金 400 円は高すぎでしょ!

冒頭から、庵野秀明っぽい変な構図のカメラワークとせわしない編集。なんだかんだいって、実写映画監督としての庵野秀明は記名性が高い。

おきまりのキングギドラの鳴き声。このキャラ……マリの原型は如月ハニーだったのか、と衝撃を受ける。それから、『シン・ゴジラ』の市川実日子はここにでていたのか、とさらに驚く。音楽は『彼氏彼女の事情』の感じが強い(鷺巣詩郎じゃないのはなんで?)。そして、新劇以降ミサトさんの代名詞になった獺祭が、ここですでに登場している。市川実日子も村上淳も、なんだか演技が下手だ。

脚本、物語のはこびがうまくなくて、『バットマン』のようにオリジンから始めたらどうだったのだろうか(キューティーハニーはアメコミヒーローに見えなくもない)。おにぎりが好き(庵野っぽい設定)、 OL として働いている、といった、奇妙なオリジナルの設定はうまく機能しておらず、だったら原作どおりにやればいいのに、と思う。「ハニメーション」は成功しているとは言いがたい。とはいえ、劇中のアニメがよくできている。キューティーハニーといえばエロなのに、超人的なスタイルのサトエリはなんだかエロくなく、スポーティだ。倖田來未の歌唱シーンはなんなのか。途中、脈絡なくサトエリのイメージビデオのようなパートがはさまって脱力。カラオケのシーンはおもしろいというか、ひどい。ミッチーのミュージカルパートやば!

この軽いノリはなにに近いのかといったら、平成仮面ライダーシリーズだ(昭和も入っているけれど。あと、ちゃんと特撮もある)。そう考えると、庵野秀明版『キューティーハニー』が映画ではなく、日曜日の朝に 30 分間放送される TV シリーズだったとしたら、と想像したくなる。

この 93 分という尺は B 級映画か、二本立てのうちの一本のようでいい。それにしても、こんな映画をつくるのに 4 年もかかっているとは……。

黒沢清の『ドッペルゲンガー』をつくった製作会社でもあるトワーニは、『キューティーハニー』の製作によって倒産。他の製作映画が失敗しまくって、『キューティーハニー』の予算はどんどん削られていったらしいが、『キューティーハニー』ではやたらと手の込んだセット撮影があって、それに相当な予算がかかっていることは想像にかたくない(金のかかるセット撮影をしてはいけない、というのは、『光る女』とディレカンからの教訓である)。まるで『ラヴレス』のような映画だ。( 0 点)
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