ひろぽん

ツナグのひろぽんのレビュー・感想・評価

ツナグ(2012年製作の映画)
4.3
生きてる者と死んだ者を再会させる使者「ツナグ」の見習いを務める高校生が、不思議な職業を通じて他人の人生に深くかかわっていくファンタジー。

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母の癌を家族に隠したまま亡くなってしまい、それが原因で息子との確執ができてしまった中年おじさんの親子愛👩‍👦

喧嘩別れしたまま自転車事故にあってしまった女子高生の友情と裏切り?🚲

プロポーズした直後に突然疾走してしまった恋人を7年も待ち続けるサラリーマンの純愛💏
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オムニバス形式の3つの物語で紡がれる人と人の温かくも切ない繋がりを通して、「ツナグ」の見習いとして祖母から本当にその力を受け継ぐべきか、生と死について深く考えるようになっていく普通の男子高校生・歩美。

死んだ人との関わりは、今生きている人間の都合の良いように想像していいという解釈のメッセージ性がある֊ ̫ ֊𓈒𓂂𓏸
その解釈でずっと後悔している人が救われるんだと思う。歩美自身も両親の死を良いように解釈していたし、祖母アイ子の後悔も然り。

考察✩.*˚
そして、唯一の謎である御園が嵐に残した「道は凍ってなかったよ」という言葉。2つの意味で捉えることができるが、個人的には御園による嵐への復讐だと思う。本当のことを話していたならば許そうと思っていたのに、最後の最後まで嵐は1番言いたかった事なのに言わなかった。ジュンヤワタナベの件で確信したのだろう。別れ際の御園のアップの表情が別れを惜しむというより、私たちの友情はこんなものかという幻滅した寂しい表情に感じた。そして、陰ながら好きだった歩美の口から1番聞きたくない事を伝えられ、もう1度御園に会うこともできず一生後悔するように仕向けた。最後に嵐が泣きじゃくって謝り続けたのが答えなんだと思う。本当のことを話していたら伝言は伝えられないような仕組みになっていて、御園は巧妙な手を使った策士だった。裏切りは許せないけど、女の友情は案外もろいってよく聞くのはこうい事なのかな。

真実か嘘かという裏のテーマが巧妙に仕掛けられている。嵐は本物の友情からの嘘による裏切り、キラリは嘘から始まった真実の愛。

生死感について考えさせられるとても良い作品だった。なんと言っても樹木希林の儀式に似合う雰囲気や、主張しすぎない存在感がこの作品のバランスを保っていて良かったんだと思う。ファンタジーというより、ヒューマンドラマ。定期的に観てる心温まる大好きな作品。
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