一

鏡の一のレビュー・感想・評価

(1974年製作の映画)
3.3
ロシアの巨匠 アンドレイ・タルコフスキー監督作品

自伝的な心象風景を独自の水と火をモチーフにして映像の中に展開した美しい映像詩

スペイン戦争、第2次世界大戦、中ソ国境紛争などの記録フィルムを挿入しながら、主人公の母に対する愛慕、別れた妻と息子の関係を過去と現実を交錯させながら描く

詩的な表現を駆使しながら、過去と現実を巧みに交錯させて描かれるタルコフスキーらしい自伝
『サクリファイス』に通ずるような気もしたけど、当然のように肝心の話は1ミリたりとも理解できない

しかしタルコフスキーの映画を最初から理解しようとして観ているわけもないので、そこに関しては全く問題ないし、こんな映画は誰にも真似できないと思わせるほど唯一無二のクリエイティビティに溢れている

なによりこの映像詩人の作品は高尚が故の構図の魔術師ですから、理屈では無くひとつの映像作品として純粋に楽しめればそれでいいわけです(自己暗示)

美しいカメラワークで捉えられたお得意の水だったり、吹き抜ける風、火事なのに鳥肌が立つほど美しくカラーからモノクロへの切り替えも独特
貞子の原型みたいなシーンもあったし、下手なホラー映画よりよっぽど怖い演出が多いのも印象的

監督の実の父親で詩人の、アルセニー・タルコフスキーの詩が監督自身の朗読により挿入されているのもなんだか素敵

何のこっちゃさっぱりだけど、タルコフスキーはこれでいいのです(自己暗示)

〈 Rotten Tomatoes 🍅100% 🍿92% 〉
〈 IMDb 8.1 / Metascore 80 / Letterboxd 4.3 〉

2021 自宅鑑賞 No.260
一