an0nym0us

鏡のan0nym0usのネタバレレビュー・内容・結末

(1974年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

硝子の欠片が降り注ぐような、とても私的で詩的な映像表現…と言えば適当かな。

こうやって美しい作品として自分を表現できる才能には羨望を覚える。

硝子の破片は光を反射して綺麗だけど…
鋭く尖って、傷を与えもする。

優しいものだけを選りすぐる事はできないから…たまに誇らしくて、たまに痛くなる。

芸術家の本能的なものを見せてもらいました。

表現するって…
自分を見せるってことだもんね。
とてもプリミティブな願望なのかも。

泡沫を想わせる。

瞬間の微睡。
すぐ覚めて今に帰る。
パチンと弾けて消えてくみたいに。

タルコ監督本人にとっては鏡でも…私たちには他人って言う名の異世界を覗き込む行為。

理解なんてものは存在しない。
定点なんてものも存在しない。

寄せては返す波は、どれひとつとして同じものではないのに「波」であるみたいに。

名前を付けたところで固定なんてできないもの。

端から見た誰かが不幸そうに見えても…
その人自身は幸せなのかもしれない。

自分は不幸せだと思っていたとしても…
他人にはそう思えないかもしれない。

そうするとさ…
自分さえ曖昧な何かに思えない?

波間を漂う泡みたいな…
風に漂う香りみたいな…

なんか、そういう不確かさを…
どうにか形にしたいのが今作なのかも。

この混ぜこぜな現実で…
自分に形を与えたい。そんな感覚。
その為の『鏡』なんじゃないかな。

んー…今の私には、そんな作品(笑)
10年先のan0nym0usさんって人は、全然違う何かを感じるかもしれないです。

まだスコアをつけるには早そうかな…
またいつか…観た時にでも(*´꒳`*)
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