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ホステルのAirconのレビュー・感想・評価

ホステル(2005年製作の映画)
3.8
やっぱりイーライロスなんか好き。
とにかくお膳立てがうまい。
映画にノせるのがホントにスムーズ。
情報量とか時間の取り方がちょうどいいのかな。
あと、しっかりとワクワクさせられる「欲」とか「好奇心」などに沿っていることで、無理なく行動の説得力と話の推進力になる。
ワクワクしながら何の負担もなくスムーズに巻き込まれてる。


後半は、脚本的には規定路線。

もちろんネタばらしで当然「ヤバいところでした。。。」をやるにしても「ネタ」の工夫は十分にあって、当時にこれは結構面白いとは思う。
(今はもう闇の組織でも儀式の村でもカルト宗教でも、中身入れ替えすらもやっちゃってるから、「ヤバいところ」に対する工夫のハードルは、この当時からはかなり上がっている。「動機」はあいかわらず金持ち系か、変わった思想系。)

ただ脚本的な回収というか、「感情的な清算」は取ってつけた様なご都合主義の偶然の遭遇に頼っている割には、そもそも清算できたからなんのなの?くらいの気分だし、わざわざ清算しないで「逃げ切る」だけでもそんなに変わらないのに、いろいろある。
(女たち、アレックス、外科医志望オヤジとの再会はすべて逃げ道で偶然会う。)

むしろ、逃げ切るまでの間のハラハラをもう少し感情移入させられたほうが楽しめる。
あまりに極限状態に巻き込まれたので、「とにかく逃げたい」という感情がメインで、巻き込んだ関係者への「恨みの解消願望」は自分的には無かった。

警察もグルで村中協力者ならこんな風に回りくどい手段でやってきたことの説明ができているかも微妙。
もうホステル付いた瞬間拉致でも変わらない気が。。。

あと舞台、要素としての、「ヨーロッパ」、「スロヴァキア」、「ヨーロッパでのアメリカ人旅行者」は良かった。
結構好きな要素。

舞台に選ばれたスロヴァキアへの風評被害がすごい。
『ミッドサマー』のスウェーデン、『クーデター』のカンボジアとか、国へのレピュテーションみたいなものはどう扱われてるんだろ。
無許可?

あと一応主題的な、「買う方と売る方の逆転」みたいな構図も面白い。
もっとフォーカスしても良かったけど、あんまり社会派によってもなー、って感じ。

パクストンの、子供を救えなかったエピソードが日本人女性を助けたことに繋がっている気もするけど、さらっと。
バブルガムギャングたちの2回目の使い方もなんかその流れはあった。
バブルガムギャングたちは、1回目の使い方がピークで、3回目での回収はやはりそんなに。。ガムストックから2回目なだけで。



という感じで、後半に関しては「既定路線」と「ご都合主義」なんだけど、ネタがこの時代にしてはグロテスクで面白いのと、とにかく前半がよくできてる。
お膳立てがキレイ。
『ホームアローン1』みたい。

最初、なんとなく自慢げな出し方の「QUENTIN TARANTINO presents」。

これ系の正当後継者が『ミッドサマー』とか『ゲットアウト』なんだろうなー。
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