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キャッシュトラックのAirconのネタバレレビュー・内容・結末

キャッシュトラック(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

いや面白いんだけど、ミステリー的な部分が微妙。

「時系列」や「視点」の構造として、②職場に変なやつ来たからはじまり、いろいろ事情がありそうだとやって、①彼のここまでに至る経緯をやって②で気になってた「動機」と「目的」をやり、①'で敵グループの内情を見せ、③で全面対決、という構造は謎やワクワクを途切れさせない良い見せ方。
「後」を先に見せると「手前」が気になる。
問題なのは、犯人グループがなかなかグダグダなのと、ブレットがかなり脚本の操り人形感があって、内心が意味不明というか狂人化してるんだけど、そこが消化しきれてない。

まず、犯人グループがそこまで大きい山に手をつける目的が単に「年金のため」は弱すぎるし、1.5億ドルは明らかに多すぎる。
ブレットもそこまでの山を張る動機がないし(描写されていない)、職場で仲良くやっていた割に、仲間全員殺すことにもなりそうな計画に賛同し、当然の様に心が揺れることもなく元仲間を殺せるのは、性格が破綻している。(ここはむしろまったく心が揺れていないという描写)
それまでの描写と解釈不一致すぎるのに、その変貌自体を映画的では何も取り上げることはなく、「そういうこともあるのか、、、」と納得するしかない。
どちらにせよ1人20〜30億円がどうしても欲しい、SWATも来るような高すぎる死のリスクを取る意味がわからない。
(死のリスクが高いヤマは、普通の人は「やりたくない」ので、やらざるを得ない状況を作って「イヤイヤやる」以外ないはず。)

つまり、脚本的にはH側の問題だった「敵が出てこない」を”理由なく”解決してしまっている。
待ってたら出てきた。。。

ブレットについては、「内部協力者のミステリー」も引っ張っていた割に必然性はなく、取ってつけた「意外性」のみ。
その意外性のせいで、さっき書いたようにキャラクターは破綻しているが放り投げ。

さらに、ブレットはなぜHが協力してくれると思ったのかも謎。
「普通に協力するだろう人」に入ってる。。。
それまでのHの行いから考えれば、計画の成否に大きく関わる懸念点だと思うけど。
防ぎまくってるし、悪霊とまで言ってたのに。

そのブレットのネタばらしも大した仕掛けも作れなかったからか、かなりあっさりなネタばらしだったな。。
最初の事件のときの「デイブは当日欠勤」「ママの家にいた」は怪しさだけで放置、別の意味無し。
ボスが代わりにやる羽目になった「ブレンダンが直前に事故った」のも全部偶然だったのかな。

デイブが勇気出すあたりもそれまでの回収になってるのにあっさり殺しちゃうし。
(ジョシュ・ハートネット?、良い感じの脇役になってる!)

レオン的な「敵マスク変装」も、少し悲劇につながりそうで嫌な予感がしたけど、何もなし。
なぜ使わないのか、次で普通に割れてしまう。。。
監視カメラで見られていて「誤解or変装バレ気付かず?」と思ったけど何もなし。

ワルキューレ、検視報告書と章のタイトル回収は〇
まあ+3ポイント。

スコット・イーストウッド、目が完全に親父の目だな。
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