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ボーはおそれているのAirconのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.8
これは前情報なしで見た方が良いやつ。
ただし、かなり観る方にタフネスを要求してくる。
すべての謎を拾おうとして観るとキツいので、割と考えないで感じるだけで良いかも。
投げっぱなしではないので。





『ミッドサマー』もそんなにおもしろくはなかったけど、納得感はあったんだよな。
特定の「その感覚」を捉えている感。
なるほどね、その感覚ね、わかったわ~っていう。
『ミッドサマー』では、集団浅慮的な状態で、村の空気に飲まれて謎の安心感とともに沼にゆっくりと沈んでいく感じ。
お医者さんで麻酔で眠っていくときとか、医者を信用しているから良いものの、ヤブ医者くらいだと大丈夫ですよ~って言われても本当かわからない、そんな麻酔必要ある?とか思ってもまあ信じちゃう、現状変更のコストを考えると。そういう感覚。

そう考えると、「他者」が自分に与える影響ってすごい。
「他者」は自分ではないのに自分の決定や思考にかなり入ってくる。
ゼミの友達やよくわからん村人でさえそうだったんだから、今回はなおさら。
自分的にはそんなに直接的には無かったけど、自分の場合はある部分で逆パターンな同じものでもある気もしたり、多くの人にとってわからなくもない割と普遍的な感覚なんだと思う。
より抽象化して、もはや存在そのものというか。
最近だとミームにもなってる、ヒ〇とかもその感覚をあるあるとして共感しているからだし。

明らかに不思議の国のアリスをベースにしていて、最後の裁判、ラッパの音、森のところとか「これはそうだわ」と、割と確信を持った部分。
ロードムービー的な感じも。
2番目の家で突然犯人にされて逃げる感じもアリスっぽい。
「この人は大丈夫な人かも?」と思っても、やっぱり理不尽な気狂いで裏切られていく不条理感も本当に嫌でおもしろかった。
映画の流れも全然つかめない。
この孤立感、「自分以外全員気狂いなのでは?」という孤独感は、嫌だけど自分的には謎にやる気になる逆境感でもある。
知らない街で迷子になった時も毎回その逆境でやる気がでてくる、それに近い。


『バービー』『哀れ』『ボー』と、どれもSurrealワールドだったけど、だんだん抽象化が進んできた。
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