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ARGYLLE/アーガイルのAirconのネタバレレビュー・内容・結末

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

恋愛に臆病な妄想上手の小太りなオタク女子(猫飼ってる)の目の前に現れたのは好みのイケメンゴリラスパイではなく、汚いサムロックウェルだった。
彼女の想像力が謎解きのカギ!!みたいな。

見やすさに気を配って、テンポ良く、サプライズを多く、キャッチーに作られた”全年齢対象”のスパイ映画としては良い出来なのかなと思った。
血も出ず、グロもスプラッターもない。
アップルの発注通り感。

つかみも多様性的にも良い。
三十代独身オタク女子に寄り添ってる。猫飼ってるとか。(小説家として成功している設定はハマってない気も。妄想がちな非モテあたりとぶつかりそう。目指してはいるが泣かず飛ばずでネットにアップしてたら内容がハマり陰謀っぽいものに巻き込まれるとかでも良かった。)

ある意味で異世界転生的な、イケてない現実からの「実はヒーローだった」的な転身も人気の要素。



でもまあ観終わった印象はパッとしない。
大きいサプライズが多いのに気持ち良くない。

普通ならどんでん返しレベルのサプライズが、伏線1.2個でやる地味な伏線回収くらいのノリで何個も出てくるので、無理矢理「実は~でした!」とやってる感がある。
お膳立てが足りてないので納得感が無い。
大きいサプライズが多すぎてもはや一個一個が弱いというか。
「父が長官!?」とか「母も敵!?変装?」とか良いのに。

そもそも物語の構造、ギミックを言ってしまえば、「記憶喪失」と「洗脳」はまあまあ反則。
夢落ち並みには「は?」って思っちゃう。
まあその辺も”全年齢対象”っぽいというか、子供だまし感はある。

主人公が記憶喪失で、記憶喪失であることも洗脳によって忘れている、という設定。
洗脳解けで中盤のサプライズ、「実は〜でした」をやり、徐々に記憶復活で「謎解き」「種明かし」になる。
記憶喪失スタートの、徐々に記憶復活で「謎解き」「種明かし」パターンはもはや定番。
今回はそれプラス主人公が”実は”洗脳されている、前半は「(匂わせゼロの)信頼できない語り手」。

背景の世界観や過去の出来事などを作り上げて、「それを見せる順番」が「物語り」だとしたら、記憶喪失や洗脳はサプライズ(見てる側の勘違いが必要)に都合が良すぎる。



ラストバトルで再びママに使われる洗脳も万能すぎだし、キーラもインスタントすぎる。
伏線のファンからのメールもインスタント。


アクションは派手だけど、血やスプラッターは無しで全部CGみたいなの新しい。
合成っぽいのばかりで、「何見せられてるんだろう」という感じもしたが。。。


そもそも5年間は洗脳されていたのですべて仕込みの偽日常だったんだろうけど、小説家としての成功はガチなのか?
最後も新作会見みたいなのやってたしガチっぽいけど。
説明できてる?
偶然マジで売れちゃってたということで終わり?


よくバクーニンの逃走経路残ってたな。
そして床下のログノートも何のために残していたのか。
ログノートには、「アル₌バドルに預けてレイチェルカイルを受取人に指定した」という情報があっただけだし。
自分が殺された時に第三者に見つけてもらうにも受取人がレイチェルのみ指定だし、そのレイチェルに殺されたせいで自爆装置作動(=レイチェルも殺す)だし。
しかもシルバーバレットの内容はレイチェルへの告発も含まれているわけだし。(バクーニンはレイチェルが実は黒だと知っている)
バクーニンはレイチェルをなぜ信用していたのか。
というかロンドンで渡すはずだったファイルを一旦「アル₌バドルに預けてレイチェルカイルを受取人に指定した」のも謎。
会う時に携帯に暗号化CPUを忍ばせて居場所を知らせるつもりが捨ててしまったので、受信アンテナの設置場所リストで絞られ待ち合わせ場所の銅像の名前であり、一番最寄りのアンテナの通りに普通にいるのも変。
要はシンプルに最寄りのダイセックのアンテナのところにいただけ。


敵集団は、施設も巨大だしモブ兵士もたくさんいるんだけど、メインは3人しかいなくて、組織としての規模感が感じられずこじんまりとしていた感。
ラスボスのジジババ2人以外、たいしてフィーチャーされない中ボス1人。


これは嘘だったからいいっちゃいいけど、前半のエリーを、エイダン側とデイヴィジョン側が狙う理由として、エリーは未発表の5巻で闇堕ちした諜報機関のことを言い当てちゃっていて、だから予言者っぽいから、ファイルのありかを知りたい両者に狙われるって何?
もうちょっとツッコミ必要な気が。
そんなヤツらいる?


デュアリパ!?また出てきた!(2作連続!!)
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