「Bounce」のタイトルどおり、二人の男女のあっちいったりこっちきたりのトレンディ物語。
簡単にまとめると「はよゆえよお前。いつ言うんだよ。今か 今でしょ。言っちゃいなよ。何でだよ 言っちゃえよー」系映画です。
最初ヘラヘラしていたチャラ男がとんでもない苦境、のっぴきならない状況に追い込まれるという、その後のアフレックのキャリアと人生を予見したかのような作品でした。
画面はクローズショット多め。アフレックのアゴはあんまし見たくなかったが、それでも最後まで見ました。(パルトロウとこの二人は実際に破局した後なんだよな。プロっすなぁ)
幕開けは空港ロビー、そして直後に起きる航空機事故からはじまる。軽い気持ちでたまたま搭乗券を譲った相手が死んでしまって自分だけが助かる、というこの負い目ギルティに苛まれる。
CM会社の重役バディは元々アルコールに頼る傾向があったようだが、これを機にどっぷりはまりとうとう入院するまでに。退院して会社で出会ったセスに勧められたアルコール依存症から抜け出す本を読み、亡くなったグレッグの家族を訪ねてみるが。。
(どうしても思い出してしまったのが85年の日航機123便の事故。当時人気絶頂の明石家さんまも搭乗予定だった。だがたまたま早い便に予定を変えて難を逃れた。そこから生まれた名言が「生きてるだけで丸儲け!」それで娘の名前が「いまる」ちゃん。運命の歯車が少し違っていれば、さんまとしのぶのトレンディはなかった。まさにリアル「偶然の恋人」だ)
ドジャース観戦の後でレストランに入る二人。ふとトイレットペーパーを引きずって歩く女性を見つけるアビー。すかさず踏んづけて紙をとってあげる。それを見たバディ。たぶんああいう何気ない小さな行動が一番胸に引っかかるんだよね。
キスのあと、バディは彼女に恋してしまったことを自覚するがやはり逡巡する。秘密を隠したままで彼女とつきあえるのか? アビーは自分がシングルマザーだという事への強いこだわりがある。彼女には下手な同情は禁物。案の定反発される。離婚したというのはウソよ、私は幸せな未亡人ですよと強硬になる。
ここにきてようやく想いを告白。君と一緒に時を過ごしたい ビデオを一緒に選んで欲しい
>あっ そっちの告白なんかーい けど言ーっちゃった言っちゃった
二人の距離が近くなればなるほどバディは彼女の癒えない傷と向き合わざるを得ない。そしてその傷を作ったのはまぎれもない自分だ。
パルトロウの眉間のシワ寄せとか若干猫背気味なとことかキュート。美人なんだから変なアソコの臭いの香水とか売ったりしなきゃいいのにね。
グレッグには『ゴースト/ニューヨークの幻』のトニー・ゴールドウィン。これで過去の悪役カルマを解消できたかな。帳消しです。映画罪ほろぼし説。
共同パートナーのジムにジョー・モートン。『ターミネーター2』のダイソン!
一夜のお相手ミミには『スピーシーズ』のナターシャ・ヘンストリッジ。そらナンパするわ
航空会社CAのジャネス・ゲレロ。関係ないと思うがあの空港を舞台にしたグランドホテル形式の名作『大空港』の爆弾犯が確かゲレロだった。偶然か。
バディの部下につくセスはジョニー・ガレッキ。ゲイで人間の機微に敏い好人物。彼もAA出身。
アビーは亡き夫への感情をどうしたらいいか分からない。ダナや母親は立ち直りなさいとばかり言うがグレッグのことを忘れたくないのと本心を打ち明ける。それを受け止めるバディ。
週末、飛行機でプールへ出かける。その帰り道、明日告白することがあるんだけどと、
>キタアアー ようやく言うのか おい、って時にまさかのミミが登場。ビデオを持って。。
そこからの修羅場展開。
ちょっと見てらんなかった。あんなの。
なかなかあのトーンで get out って言われることなんかないですよ奥さん
もうキッズたちだけが救いだった。弟のジョーイ。どうして?と無垢な顔で聞いてくる。
君のママに秘密を隠してたんだ
秘密は隠すものだよ
くぅー泣
一見トレンディドラマ風ですが安易に台詞に頼らない。ま秘密があるから当然なんだけど。
最後も部屋探しに協力してくれないかと、ストレートには伝えない。邦画だと大抵心情吐露の赤面台詞で終わっちゃうのよ。
「臆病だから勇敢になれる」
『ゴースト/ニューヨークの幻』のditto (同じく)のようにキーの台詞を最後にもってくる。まったく映画脚本のお手本のような作品でしたよ。
⇒裁判での証言シーンを経て新たな人生のスタートという流れが、D・ワシントンの『フライト』と似ていた。あれもAAが題材だった。
⇒監督ドン・ルースは『ルームメイト』の脚本家。クリスティーナ・リッチ主演『THE OPPOSITE OF SEX』で初監督。近年では『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』の脚本。ジョナサン・カプランの『ラブ・フィールド』が見たい。
⇒エンディング曲 Leigh Nash 「Need to Be Next To You」
⇒ベストMVP賞:セス (ジョニー・ガレッキ)