Azuという名のブシェミ夫人

フィッシュタンク〜ミア、15歳の物語のAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

3.6
母親は昼間から酒浸りでパーティー三昧。
幼い妹もそんな環境で育って、口を開けば悪態ばかり。
主人公ミア自身も劣悪な生活から抜け出せず、感情のコントロールがきかない15歳。
唯一の心の慰めはダンス。そして気になるのは、母親の新しい恋人コナー。

マイケル・ファスベンダー、どうしてこんなに“色気クズ男”が似合うんでしょう。笑
登場から予想はつきましたけど、いやぁヒドイ大人。
でもね、あんな大人の男の色気漂わせまくりのファスベンダーにおんぶされたらね。
惚れる自信あります!←?
ミアが彼の腕、指先、背中や横顔を見つめていて、徐々に男性として惹かれるのが分かる。
大人の『優しさ』と『狡さ』の違いは、なかなか見分けつかないんだよね。
でもダメダメ!この男は絶対ダメ!
色気だだ漏れだから・・・気持ち・・・分かるけれども!!

ミアが唯一自分を表現出来るダンス。
それを練習する場所である団地の空き室が、タイトル『フィッシュタンク』=水槽みたい。
水色の壁、真四角な部屋。
でも、そこから外の自由な世界へは行けない。
どこに向かっても壁にぶつかる。
始まりから感じる苦しさは、そういう解放されない閉塞感かと思ったんだけど違ったのかも。
水槽の中は自由じゃなかったんだけど、その分安全でもあったんだ。
本当の苦しさは、水槽の外に・・・。
水から放り出された魚がパクパクと苦しそうにして、更に棒で貫かれて息絶える。
ミア自身を暗示しているみたい。
そういう辛い経験をして、彼女は大人になっていくんだろうな。
『生まれ変わるなら何の動物になりたいか』の話をした時、コナーが鳥になって空を飛びたいと思わないかって言ってたけど、なんだか皮肉なことに彼によってミアは飛び立てたとも言える。
どうしようもない母親と本当は強がっているだけの妹も、いつかは外の世界へ羽ばたけると良いのだけど。