てる

箪笥<たんす>のてるのレビュー・感想・評価

箪笥<たんす>(2003年製作の映画)
3.5

最近、ホラーをよく観ている。ホラーと言っても好みなのはオカルトホラーだ。

オカルトホラーといえば、この作品の上映時期は『リング』やら『呪怨』などの影響で、テレビでもオカルトを題材にした番組がしょっちゅう放送されていた。いわゆる、オカルトブームの走りだった。
そんな最中に韓国のホラー映画が話題になっていた。それがこの『箪笥』という作品だった。

この『箪笥』というタイトルがまず気になる。箪笥に何があるのか。箪笥という見えない闇の中は、幼少の頃には恐怖を抱くものではないか。『モンスターズ・インク』も箪笥の奥から子どもを怖がらせるモンスターが出てきたと記憶している。
国内外問わず、箪笥の奥とは潜在的に恐怖を抱かせるものなんだろう。

ただ、この『箪笥』という題名は邦題であって、韓国では全く違った題名だそうだ。
そもそもこの作品は、韓国の有名な怖い話を元に製作されたものらしい。
いやいや、それっていいの? 確かに日本で同じ題名だったら観なかったけど、意味が違いすぎませんか? 韓国のプロデューサーは怒ってないのかな?

しかし、この題名は巧妙だとは思う。興味を掻き立てられる。題名もさることながら、この作品のパッケージも印象的で、気にかかる作品にしたてあげられているのは間違いない。

肝心の内容は、ホラーというかミステリーであった。
巧妙に組まれたストーリー編成には、驚かされる。二転三転、さらに過去と現在を行き来する複雑な時間軸なのに、それを観客には悟られないように、かつ、後で観直したらわかるようヒントを小出しにしている。見事でありました。
と言っても、始めからきちんと観ていればわかりそうなものだが、私は冒頭のことなどすっかり忘れていて、充分に楽しめた。

作品の雰囲気はかなりいい。不穏な雰囲気が漂い、誰がどうなっても不思議ではないと感じられる。
ただ、オカルトホラーだと思って見始めたので、少々肩すかしを食らったが、後味の悪い嫌な雰囲気の極上のミステリーだったため、好感は持っている。

やっぱり韓国はこういう血生臭い作品を撮るのが上手い。
でも、韓国のような感情の起伏が激しい国民性の方々には、私が期待しているようなジャパニーズホラーのおどろおどろしいものは作れなさそう。
まぁ、得手不得手があるよね。韓国作品には韓国にしか出せない持ち味があるもんね。
てる

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