みー

ペルセポリスのみーのレビュー・感想・評価

ペルセポリス(2007年製作の映画)
3.7
激動のイラン革命や戦争の時代を生きた少女が、大人になるまでを自伝的に描いたマンガが原作のアニメーション。
世界中で賛否両論を巻き起こしたという内容にも、納得。

イランの圧政、イスラム教の女性の人権についてのエピソードが、赤裸々に描かれていました。
前半は政治的な説明が多く、重苦しい雰囲気。
でも恐ろしい描写はほぼなく、ユーモラスに日常として描かれているので、構える事なく見やすかったです。

イランの女性って、ヒジャブを深く被り、質素に暮らしているイメージでした。
けれど!頭の中は世界中のティーンとおんなじ!

オシャレしたい。
恋もしたい。
アイアンメイデンに憧れ(笑)、こっそりテープも買う。
部屋ではエアギターもしちゃう!
ヨーロッパの留学先では、あんな事やこんな事も!
タバコも吸うし恋にも失敗する。
ブリジットかーい(笑)
うん、でも近いかも。
それくらい完璧じゃない彼女だからこそ、身近に感じる事ができます。

戦争下のイラン出身という立場に翻弄されながらも、強く生きていく主人公マルジ。


思想が不自由な国で育ったにも関わらず、彼女の根っこにはしっかりとしたアイデンティティがあり、それがこうしたメッセージ性の強い作品の原動力となったのだろうなぁと思いました。

そのルーツは、理解ある両親や伯父さん、そして何と言っても彼女のおばあちゃんのリベラルな考え方の影響が大きいようです。
かなりの上流階級ではあるようですが…。
おばあちゃんがマルジに投げかける言葉は、私のイスラムのイメージをひっくり返してくれる、素敵な名言ばかりだった。私もおばあちゃん子なので、ますます親近感。

そしてラストでのマルジの一言にも力強さがあり、これからの彼女を応援したくなる、爽やかな気持ちになるのでした。

95分で、イスラム圏の女性を少し知ることができます。オススメです。
みー

みー