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炎の人ゴッホのmichiのレビュー・感想・評価

炎の人ゴッホ(1956年製作の映画)
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ゴッホの人生を描いた作品である限り、不器用に生きながら不遇のまま死んでいくかわいそうな話であることは承知で、ミクロス・ローザの音楽目的で観た。
音楽と言えば、数年前にゴッホ展に行ったとき、オーディオガイドで「糸杉」にマ・メール・ロワの終曲を当てていて、あまりの美しさに涙が出た。本作品では、その「糸杉」にローザのメロディーが重なるわけですが、療養中に描いた作品が次々映し出され、描ける喜びと先の不安が相まったメロディーがこれまた美しい。

カーク・ダグラスもはまっていたけれど、それ以上にアンソニー・クインのゴーギャンがイメージぴったりだった。ゴッホとゴーギャンが言い合うシーンの迫力がすごい。

作中に、数々のゴッホの作品が出てくる。特に、描いている途中の作品が出てくるシーンは興味深い。完成した作品しか観ることがないからね。スーラのあの有名な絵も、制作途中の状態で映るシーンがあっておもしろかった。

でも結論としては、やはりゴッホの人生を追うのは辛い。『永遠の門』の時もだったけど、観終わった後に、彼が生きているうちに評価されていればもう少し楽に生きられたのかな…とかどうしようもないことを考えてしまう。
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