ろ

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカのろのレビュー・感想・評価

5.0

淡いブルーの光の中、ネモフィラの花畑のように見えたのは凍てついた大地だった。
オレンジ色のトラクターで殺風景な畑を横切り、森を抜け、辿り着いたのは国際空港。
レニングラードカウボーイズ一行はアメリカへ飛び立つ・・・

ゆりかごで眠る赤ちゃん、めちゃめちゃリーゼント。
黒い犬もさりげなく、祖父リンカーンも(ペンで書き足されたみたいに)リーゼントが光る。
黒いスーツにサングラス、シューッと先のとんがった革靴。それがレニングラードカウボーイズのスタイルだ。
彼らに憧れる(?)近所のおじさんも、バンドメンバーにつられてアメリカへ。
バーバーショップに枯れ草を持ち込み、これで短髪の自分もリーゼントにできるか尋ねたり、先の尖っていない革靴を手にションボリしたりする。
結局リーゼントはダメだったけれど、店主が弾き語りの歌とスープをごちそうしてくれるのだから温かい。

「君らの音楽は古臭い。いま流行っているのはロックンロールだ」
アメリカのエージェントに告げられると、今度はメキシコを目指しながら巡業。
その間コツコツ英語を学び、すぐさまロックを取り入れる。彼らはとても柔軟なのだ。

「さぁ、みんなでロックしようぜ。みんなでやれば怖くない」
キャデラックから降りてみると、ビールの空き缶がカラカラと溢れてボールプールみたいになる。
フード!フード!飢えたバンドメンバーたちに与えられる大量の玉ねぎ。道端にしゃがみ込み、生のままかじりつくカウボーイズたちを横目に、マネージャーはブロック肉をむしゃむしゃ。
そんなマネージャーの独裁は許すまいと、ある日メンバーたちが反逆に出る・・・

「貧しきものにお恵みを」のプラカードを下げながらビールを飲む二人。
すでに腐っていそうな魚を献上しにやってくる隣人のおじさん。
みんなが奥さんや家族を懐かしむ中、一人だけなぜかトラクターの写真に思いを馳せる。
メキシコの死者の日だったのか、突然蘇る棺の中の死者・・・
ショートコントを繋ぎ合わせたようで、どのエピソードも最高におもしろい。
特に、留置場に入れられても空き缶で演奏し続ける彼らが好きだったし、留置場の人がハムの諸見里さんにそっくりで笑った。
ろ