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ザ・ファイターのtjZeroのレビュー・感想・評価

ザ・ファイター(2010年製作の映画)
3.8
地元の英雄で伝説的ボクサーだった兄、その兄を追って現役のボクサーになった弟。兄が弟のトレーナーとなり、世界チャンプを目指す様を描いた、実話の映画化。

まず眼を見張るのが、兄を演ずるクリスチャン・ベイルの存在。バットマン役者のジョーカー的演技といおうか、ジャンキーでもある落ちぶれた元ボクサーを内面からにじみ出るようなパフォーマンスで表現。昔ボクシングやってた人ってきっとこうなんだろうなあ、と思わせる、役柄のスピリットを感じさせるような演じ方である。

一方、弟を演じるマーク・ウォールバーグは、現役の拳闘家らしさをムキムキの肉体とパワフルでスピード感あふれる動きで表現。
この両名の、役柄への内面的なアプローチと、フィジカルな面からのアプローチという対照的な演じ方の違いが、そのまま元と現役、それぞれのボクサーのキャラクターと完璧にマッチしているのが面白い。

こうした演技を引き出したデヴィッド・O・ラッセル監督の演出もやっぱり見事で、『世界でひとつのプレイブック』などと同じく、この監督の作品は役者陣の演技のぶつかり合いを観ているだけで楽しい。この監督作から毎年のように、各賞の演技部門でノミネート者が出るのも納得である。
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