けーはち

セデック・バレ 第二部 虹の橋のけーはちのレビュー・感想・評価

3.3
台湾先住民セデック族の抗日闘争を描く二連作の後編。史実では30人足らずしか殺られていない日本軍だが、本作では数千の兵がセデック族300人に地の利を活かしたゲリラ戦術で足止めされ、バサバサと狩られる血湧き肉躍る展開を魅せる。しかし、いかに獅子奮迅の戦いを見せようと彼らはいずれ数に圧倒される。戦士としての潔い死を選ぶのはあくまで男たちのエゴであり、その裏で非戦闘員の女子供が自決するといった悲惨な部分を明示し、それを日本将校が「我々が忘れていた武士道」とか言って驚嘆するという皮肉めいた結びになっているのが面白い(それをWWⅡでは日本軍が女子供に強要するのだもんね)。「虹の橋」というのは彼らの信仰で要はあの世への架け橋(三途の川みたいなもの)だが、信仰で死の恐怖を緩和して誇らしく勇猛に戦うけれども戦争は哀しいものよ、というのを淡々と描いている。ちょっと長いが……。