撲殺

となりのトトロの撲殺のレビュー・感想・評価

となりのトトロ(1988年製作の映画)
3.5
老若男女問わず笑顔になれる"ザ・田舎ほのぼの物語"

田舎っていうのは何らかの民話だったり伝承がいまも生きているものだ。

私自身がド田舎の出身だから分かることなのだが、「山には神様がいる」は老人の口から割と普通に聞かされる。本当にいるのか、山で悪さをしないための躾の一環なのかは分からないがとにかく田舎にはロマンがある。

となりのトトロはそんな田舎特有のロマンをギュッと凝縮した作品だ。主人公のサツキとメイの姉妹は引っ越してきたド田舎(狭山市だっけか)でトトロやまっくろくろすけを初めとする「子どもにしか見えない」不思議な化け物(妖精?)と交流を深める。

この作品のミソは「トトロを初めとする不思議な生き物は子どもにしか見えない」ということだろう。これを見た子どもたちは自分もトトロ達に会いたいと田舎への思いを募らせ、大人達は田舎で過ごした懐かしい日々を思い出して郷愁に駆られることだろう。ジブリ側が意図しているかは分からないが、この映画は農耕民族の日本人に刻まれた田舎DNAに訴えかける作品だと思う。

あとは糸井重里の演技がいい。棒だ何だと言われることが多い気もするが、マジの「お父さん感」が出てると思う。結果論かもしれないがあのお父さんの声は糸井重里にしか務まらないだろう。

私は生まれも育ちもド田舎なもんでこの映画が異様に刺さる。対して生まれも育ちも都会のシティーボーイorガールがこの映画を観たらどのような感想を持つのか気になるところである。
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