広島カップ

やさしくキスをしての広島カップのレビュー・感想・評価

やさしくキスをして(2004年製作の映画)
4.0
学生時代に鎌倉の高名な寺で何日か泊まり込みで座禅をした経験があります。
きっちり決められた毎日の厳しい参禅生活の時間割の中でその寺の"老師"と呼ばれる一番上の人の話を聴く時間があるのですが、ある日意外な一言をいただきました。

「なんでもいいので何かの宗教を持っている方がいい」

私はてっきり仏教(曹洞宗)を勧められるのかと思っていたのですがこの一言は楽になりました。
懐が深い!と思いました。

本作を観ると日本は宗教に関してみると住みやすいのだなぁと思います。世界の宗教の実情は日本人からすると心からの理解はし難い。
本作のキリスト教のヒロインもイスラム教の彼氏の家の流儀を理解できていない。
宗教上の障害が愛しあう二人を引き裂こうとする。

最後の二人のキスは、どちらかというと政治的な問題提起が多いケン・ローチにしては宗教を介した個人的な要素の強いラストでした。
生きづらい社会の中の個人の在り方、特にその恋愛に焦点を当てて描いたケン・ローチらしい作品でした。
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