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その街のこども 劇場版のtetsuのレビュー・感想・評価

その街のこども 劇場版(2010年製作の映画)
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リバイバル上映にて鑑賞。

2010年1月、阪神淡路大震災から10年の月日が経った神戸。
久しぶりに街へと帰ってきた2人の男女は、とあるきっかけで意気投合。
翌日、東遊園地で行われる"震災の集い"までの数時間、ともに夜の神戸を歩くことになって...。
NHKで放送されたスペシャルドラマの劇場版。OPの映像が少し追加されている。

※本編の内容に関する感想はドラマ版に書いております。あらかじめ、ご了承ください。

本作から、さらに10年、
僕の生きる街・神戸では阪神淡路大震災から25年が経った。

僕は震災を経験しなかった世代ではあるけれど、毎年、この日の朝になると、
張りつめた冬の空気に心が引き締まる。

それは"この街"で育った人間だからかもしれない。
小学校の壁や、人々の記憶、
街の至るところに、その痕跡は、
いまだに残っているから。

当時、生まれてもいなかった僕が言えることなんて、ほとんどないけれど、
でも、あの日があったこと、
それでも、今日は続いているということに、ちゃんと向き合わないといけない気がする。

この映画に登場する二人のように、
当時の経験を胸に抱えている人は、
現実にも大勢いて、その人の数だけ色んな思いや後悔があるはずだから。

家へ帰る途中、僕は引き寄せられるように東遊園地に来ていた。
そこにはたくさんの竹灯籠が並べられていて、消灯時間の間近とはいえ、多くの人が集まっていた。

火の匂いを嗅ぐと、
ふと、何度も見た当時の映像を思い出す。

あぁ、色んな人の人生が一瞬にして、
変わってしまったんだなぁって。

映像で見ることもいいけれど、
足を運ばなければ、
分からないこともあるような気がした。

復興した後の世界に生きてきた僕は、
とても幸せ者だ。

だからこそ、
素敵な街を支えてきた人たちの苦労を忘れないようにしたい。

いつか、そんな過去も踏まえて、
「この街が好きだ」と言えるように。

参考
神戸新聞NEXT|企画・連載『この街』
https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/sinsai/25/rensai/sp/P20200105MS20111.shtml
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